プロジェクトオフィサー 橋本 千明
これまで2度の緊急救援において合同事業を行ってきたNPO法人TMATとAMDAはバングラデシュのロヒンギャ難民支援においても合同事業として協力することとなり、2018年11月23日~12月1日の日程で第7次派遣として河内 順医師(湘南鎌倉総合病院/副院長)と鈴木裕之医師(福岡徳洲会病院/救急科医長)の2人を派遣しました。
NPO法人TMATの起源は阪神淡路大震災支援に参加した、徳洲会グループの医師らによるもので2005年に発足したNPO法人。「生命だけは平等だ」の理念のもとで、災害医療救援活動、及び医療技術支援活動を通して、よりよい医療を世界中の人たちが受けられるようにサポートしています。AMDAとはこれまでに2016年のハイチハリケーン緊急救援、2018年インドネシア・スラウェシ島地震緊急救援で合同支援を行ってきました。
ロヒンギャ難民支援への派遣はTMATにとって初めての難民支援への医療者派遣で2018年1月、ロジスティクスを担当する事務局の野口幸洋氏が医療スタッフ派遣に関する調査のため、ロヒンギャ難民キャンプにあるAMDA診療所を訪れました。AMDAグループ菅波代表とともに難民キャンプの環境、治安、診療所および現地医療スタッフの活動状況、他団体の活動について調査を実施。また、首都ダッカで後方支援を行うAMDAバングラデシュスタッフともミーティングを行った結果、TMATからの医療者派遣が可能と判断。その後の調整を経て、今回の派遣が実現しました。
〇TMAT福島理事長からのコメント
2017年8月、ミャンマー西部での衝突を機に発生したロヒンギャ難民問題が表面下した際、同じアジアで起こったこの問題に対して、TMATとして何とか支援が出来ないかと考えていたところ、AMDA菅波代表より合同事業での支援のお話を頂きました。今回、AMDAの多大な協力により、1名の調査員と2名の医師を派遣させて頂き、TMATとして初めて難民支援を経験することができました。これはひとえに、アジア各地に支部を持ち、「ローカルイニシアチブ」という理念に基づく支援を行っているAMDAのすばらしい支援体制があってのことだと感じています。
今回の合同事業は、2016年ハイチハリケーン災害、2018年インドネシアスラウェシ島地震に続くAMDAとの連携になりましたが、今後もAMDAの「救える命があればどこへでも」とTMATの「生命(いのち)だけは平等だ」の二つの理念が交わった支援を世界各地で継続できることを願っています。
【TMATからの派遣者/AMDA第7次派遣】
派遣期間:2018年11月23日~12日1日
河内 順(かわち じゅん)/ 湘南鎌倉総合病院 副院長(外科)
鈴木 裕之(すずき ひろゆき)/ 福岡徳洲会病院 救急科医長