テンガマラ婦人会とバングラデシュ・ダウン症協会、三者連携協定締結 – AMDA(アムダ)
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特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

テンガマラ婦人会とバングラデシュ・ダウン症協会、三者連携協定締結

バングラデシュ担当 橋本千明

2019年1月7日、AMDAはバングラデシュ現地NGOであるテンガマラ婦人会(TMSS:現地名 Thengamara Mohila Sabuj Sangha)、バングラデシュ・ダウン症協会(Down Syndrome Society of Bangladesh)と覚書に調印し、三者協定を締結しました。これは各団体が相互扶助の精神に則り、緊急防災、災害管理、高齢者ケア、ダウン症に対する啓蒙活動の分野で協力するものです。

TMSSは、バングラデシュ北西部ボグラ県に本拠地を置くNGOです。1964年から前身が活動を始め、1980年に「婦人」という名前が入るとおり女性の能力開発、貧困撲滅、自己雇用努力を目的に設立されました。バングラデシュのNGOは、社会的存在感が非常に高いのが特徴で、貧困層に福祉と開発サービスを提供しています。バングラデシュ全土に800カ所に支所を持ち、8000人のスタッフがいます。マイクロファイナンス、教育、健康、食料安全保障と生活など多岐にわたるプロジェクトやソーシャル・ビジネスを展開しています。







バングラデシュ・ダウン症協会は、AMDAバングラデシュ支部事務局長のサダール・A・ラザック氏が会長を務める、ダウン症をもって生まれた子供と親達の為のプラットフォームです。ダウン症の子供たちが世界を変える一端を担うことを実現させ、啓蒙活動、教育、雇用、社会的包摂などの面で支援を行うことで、彼らにひらめきを与えたり刺激を与えることを目的としています。自己資金で運営を行う非営利団体として、私達は日頃から保健や教育関連の専門家をはじめ、他の福祉ボランティア団体と緊密な連携を図っています。また昨今、ダッカ大学コミュニケーション障害学部やイギリスの国際ダウン症連合(DSI: Down Syndrome International)、アジア太平洋ダウン症連盟をはじめ、内外の関連団体と定期的に活動を行っており、ダウン症に関する積極的な啓蒙活動により国内でも注目を集めています。

今回の連携協定締結にあたり、TMSS代表のホスネアラ教授(Dr. Hosne Ara Begum)は、「団体設立当初、活動をテンガマラ地区という村で始めました。当時、この地域は乞食ばかりで悲惨でした。地元の人的、物的資源を活用することで社会的立場の弱い人や貧困者の立場を強めたいという思いで、ここまできました。今回の協定締結で、まずはダウン症を持つ子どもたちと親への支援に関して協力するところから始めていきます。ダウン症を持つ人たちへの支援はいかに相手に関心を持ち、愛情を持って関わるかが大切だと考えます。また、AMDAが得意とする緊急救援活動にも積極的に関わりたい。お互いの強みを活かして知識・技術の交換ができれば素晴らしいです。」と語りました。

また、バングラデシュ・ダウン症協会会長ラザック氏は、「ダウン症は先天性欠損症ではありません。むしろ、天恵といえるのではないでしょうか。通常の人よりも多く染色体をもって生まれた子供達は、未知のユニークな才能を秘めています。バングラデシュ・ダウン症協会は、ダウン症に関する啓発教育を行い、ダウン症の子供をもつ親や、その家族、友人達をサポートしていきたいと願っています。」と呼びかけると、会場からは大きな拍手がありました。
 
今回の三者協定には、「ダウン症のある人々の社会的包摂について、世界がともに声を上げること」、「ダウン症のある人々に対し、包括的な保健サービスを提供するリソースセンターを設置すること」などが盛り込まれています。研究や交流訓練を推進し、様々な形での協力を模索していく方針です。三者が一致団結し、助けを必要としている人々の生活に変化をもたらすよう、継続的な働きかけが期待されています。












協定締結後、ダウン症を含む自閉症や脳性麻痺を含む子どもたちと親が通うTMSSのチャリティ施設を訪問。ダウン症当事者としてラザック氏の三男がきれのあるダンスを披露。子どもたちから大歓声があがりました。また、TMSSのダウン症の子どもも踊りを披露。最後は一緒にブイサインをつくり記念撮影をし交流を深めました。