緊急救援ネットワーク 看護師 山崎秀明
(派遣期間:平成30年10月6日~平成30年10月16日)
(派遣場所:パル、スラウェシ、インドネシア)
インドネシア・スラウェシ島地震の被災者に対する緊急支援活動に参加された山崎看護師の報告をご紹介いたします。
1) 支援活動参加の経緯
国際災害支援を志して、6年間派遣の機会に備えて、訓練・座学・語学等備えてきました。今回の派遣募集に対して、被災地で少しでも普段の自分の技術等力になることができれば。との思いに躊躇する余地はありませんでした。
2)活動に参加して気づき、感想
もともと被災地では医療に固執することなく、自分にできることはなんでもしようと思っていました。しかし、このなんでもが訓練等から得られる想像とは違ったものでした。良い意味で被災地の方は支援者・避難者ともにとても明るく、我々海外支援者に対してもとても歓迎してくれました。そのおかげで現地の方と協力して活動することができました。災害支援の原則は自己完結が基本ですが、それはすべて自分たちでしなければいけないわけでなく、要所要所でお互いが協力するすることが大事だということを実感しました。今回の活動は現地の病院のスタッフや他のチームの方々の協力なしではなしえることができなかったといえるほど、協力することの大事さを感じました。そのなかでも、頼り切るのではなく、自分達にできることはむしろ積極的に提供していくという姿勢も現地の方に受け入れられ、相互扶助の一端を担うことができたのではないかと思いました。
今回特に印象に残っている事は継続したケアを提供することができたことです。災害医療支援において、被災された患者はいたるところから治療等を受けに来たり、提供しに行ったり、またそのアクセスや対象者が多岐にわたることから、継続的に特定の患者を診ることは困難です。そんな中、今回60歳代の震災により下肢を負傷した女性に対して継続したケアを提供することができました。はじめは自宅に伺ってケアを提供したのですが、創傷の状態が良くないため医療機関の受診を勧めました。しかし患者は現地の言葉でも理解が難しいコミュニケーションの問題もありました。そのため、説得も難しく医療機関の受診を拒否していたところから、その後必要性に納得してくれ、医療機関の受診・入院・退院したその後も自ら経過を追って見ることができました。そして、後続隊にも申し送り継続してケアをできたことは災害医療では難しい患者の回復する過程に携わることができました。特に初めは怪訝そうな表情をしていた患者が治療後に笑顔で、負傷した足を動かして見せてくれた姿はとても印象的でした。
活動内容としては、現地のニーズのアセスメントからロジスティック、ケアと多岐にわたりましたが、現地の方々はもちろん、一緒に活動した医師、現地の我々が活動に集中できるよう調整してくださった米田調整員、AMDAインドネシアの方々、日本から支援してくださった日本AMDAと寄付をくださった方々、本当に数え切れない方々の協力があって活動を無事に、またその場で考えられる最良の選択をし、終えることができました。このたびは貴重な機会をいただきありがとうございました。