GPSP支援局総務担当 ブルックス 雅美
7月29日インドネシア、ロンボク島を震源とするマグニチュード(M)6.4の地震を受け、AMDAインドネシア支部は8月1日、医師2人、AMSA(アジア医学生連絡協議会)1人を含む医療チームを派遣しました。チームはセンバルン(Sembalun)村に入りニーズ調査の後、被災者に巡回診療を実施するほか、古着を提供するなどの支援も行いました。
そして彼らが活動を継続していた同月5日夜、同島でM7.0の地震が発生。発生直後、津波が来るかもしれないという噂で住民が混乱することもありましたが、医療チームとして周辺の方々に安心していただくように対応しました。
翌朝マタラム(Mataram)州の病院へ向かい、患者が病院駐車場まであふれる様子を見て、同病院の外科手術に麻酔科医として参加、3日間で約30人の手術に携わりました。
この甚大な被害状況に同支部は2次派遣を決定、手術協力等のニーズを考え、1次チームと交代で麻酔科医3人とAMSA1人を7日に派遣しました。2次チームの一部は病院での手術協力に参加しましたが、その手術中にM6.2の余震が発生、その時に麻酔医として参加した医師は約30秒間地震が続き、周りの職員が病院の外へ避難する中、それでも自身は手術中であり患者も置いていけない状況で、病院が無事であるようにと祈るしかなかったという経験をしました。
更に、チームは避難所での診療、物資支援等を実施しました。特に体調不良を感じても誘拐などへの不安により避難所を出て診療所に行けない避難者のため、2次チームは避難所にて避難者全員を診察。その時、痛みなどで辛いにもかかわらず避難者はボランティアの人たちが助けに来てくれたことに喜んでいました。また、電気がなく視野が限られている中で必死に避難をした人、そしてその中には家族を亡くされた方もいましたがそれでも落ち着かれている様子に派遣医師は感銘を受けました。また、避難所で妊婦を病院へ緊急搬送する事態になったときにはAMDAチームが救急車に同乗し、何とか救急車ではなく病院でその妊婦は無事出産できました。
以上のように被災地での活動で様々な経験をした派遣者は、派遣後に「病院勤務ではできない、非常に貴重な経験が出来た。」と語りました。
また、16日には菅波茂AMDAグループ代表とタンラAMDAインドネシア支部長が活動地を訪問、食料や飲料などを現地自治体に支援しました。
今回の地震により死者が460人以上、7,000人以上が負傷と発表されています。
【第1次派遣(8月1日から8日まで)】
Pasrah Kitta 医師/ AMDAインドネシア支部
Aqmar Mubarak Phoenna 医師/ AMDAインドネシア支部
M. Dahlan Abubakar ジャーナリスト
Muh. Nur Anshari Syakir, S.Ked 調整員/AMSA(アジア医学生連絡協議会)
【第2次派遣(8月7日から17日まで)】
Yusuf Sidang Amin, Sp.An 医師(麻酔医)/ AMDAインドネシア支部
Syukri Mawardi 医師/ AMDAインドネシア支部
Zulfitriani Murfat 医師/ AMDAインドネシア支部
Syaiful Islam, S.Ked 調整員/AMSA(アジア医学生連絡協議会)