バングラデシュ腹腔鏡外科学会、バングラデシュ医師会と連携協定締結 – AMDA(アムダ)
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バングラデシュ腹腔鏡外科学会、バングラデシュ医師会と連携協定締結

バングラデシュ担当 橋本 千明

バングラデシュ医師会との
協定締結の様子

2018年1月20日、21日、AMDAはバングラデシュ腹腔鏡外科協会、バングラデシュ医師会と覚書を交わし、医学教育、防災、緊急医療支援、リハビリ医療などの分野で協力することで合意しました。具体的な提携内容として1) 医学教育交流プログラムの実施と研究開発、2) GPSPおよびAMDA多国籍医師団への協力、3) これ以外の分野での協力形態の模索の3点が主眼となります。



AMDAバングラデシュ支部長のナイーム医師は、現在バングラデシュ腹腔鏡外科協会の会長を務めています。バングラデシュ腹腔鏡外科学会は外科、産婦人科、泌尿器科の医師を中心に約1000名の会員を有します。うち800名が若手の医師です。主な活動は、研修会や学会の実施です。



ナイーム医師の腹腔鏡技術との関わりは、ナイーム医師が日本の文部省(現文部科学省)の奨学金で日本に留学されたことにさかのぼります。



バングラデシュ首都のダッカ大学医学部を卒業した1985年は、卒業後に欧米諸国へ留学して専門職を学ぶことがバングラデシュの主流でした。しかし、ダッカ大学の歴史学部教授でナイーム医師の義理の父でもある方が、奨学金制度のある日本への留学を薦めてくれたことが大きな転機となりました。その薦めに、ナイーム医師も第二次世界大戦後素晴らしい経済発展を実現した日本から学ぶことは貴重でまたとない機会だと考えました。



当時は、メールもインターネットもない時代で大変でした。何とかコンタクトを取ろうと必死だったナイーム医師は、手元の資料の中から自力で、肝臓・胆嚢・膵臓の外科医を探しました。その中で見つけたのが、日本の第一人者の東京大学の教授。彼に手紙を書いたところ、その教授は面識もないナイーム医師の熱意だけを評価して推薦状を書かれ、来日が叶いました。



1987年から5年半の間、東京大学第二外科で、日本でもまだ新しかった腹腔鏡手術の技術習得にまい進しました。この技術を母国でも広めることが自らの使命と確信したナイーム医師は、1991年、母国の外科医を日本に招聘し、東大の手術室の様子をみてもらいました。その年末、母国の外科学会と協力して、母国でも手術の生中継をしました。次の日の新聞各紙で、ナイーム医師の手術が「新しい医療技術の幕開け」と紹介されました。



その後、ナイーム医師は首都ダッカに日本バングラデシュ友好病院を開院し、バングラデシュ医師会の中心メンバーとしても地域医療の発展に貢献、これまでの27年間でのべ25,000名以上の手術を行いました。今回の両協定締結の目的は、日本・バングラデシュ両国間での腹腔鏡技術交流への貢献並びに今後、日本の南海トラフ災害も見据えた協力体制の構築です。

 

バングラデシュ腹腔鏡外科学会との
協定締結の様子

バングラデシュ腹腔鏡外科学会の皆さまと