インドネシアAMDAフードプログラム現地報告:4月~5月分 – AMDA(アムダ)
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特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インドネシアAMDAフードプログラム現地報告:4月~5月分

AMDAインドネシア アラニ アクバル ファクリ
(訳:近持 雄一郎)

【4月】

マカッサルで販売されている有機米

2018年4月中旬、AMDAフードプログラムのモニタリング調査のため、南スラウェシ島マリノ・バトゥラピシ地区にあるAMDA農場の有機水田を訪れました。その際州都マカッサルのスーパーマーケットに立ち寄ってリサーチをしたところ、有機米は2キロあたり66,500ルピアが相場で販売されていました。

AMDAインドネシア支部で有機米の流通を担当するブラエン氏の事務所を訪れ、バトゥラピシで栽培された有機米がきちんと売られているかどうか確認したところ、概ね順調に運営されているように思いました。

     ブラエンさんのオフィス

マリノ農場では月一回、稲穂の高さと分げつの数を測定し、前年度とのデータ比較を行っています。分げつの数と稲穂の高さはその年の米の出来高に大きく関わるため、定期的なデータ集計は必至となります。また水田における水の温度測定も欠かせません。

 

測定の様子

草取りの光景

条間を広めにとる

田んぼの草取りは、ある程度雑草が生えてきた時にまとまって行います。雑草が生えると稲の成長に影響がおよぶほか、後に実った稲穂を狙うネズミが増えるためです。これに加えて、条間(作物の列と列の間)を広くとることで、田んぼを乾かし、ネズミによる被害を防ぐ工夫をしています。生産者の一人、ハゲさんによれば、「田んぼを七日間乾かして条間をある程度空けるようにすれば、ネズミも来ないし、稲の手入れもしやすくなる」ということでした。

有機からし葉を栽培する
収穫前のダルウィスさんの畑

開墾の様子

こちらではキャベツを栽培の予定

現地生産者のダルウィスさんは有機のからし菜(ツァイシン)を栽培しています。生育も良好で、収穫されたものは、自宅用はもとより、今後マカッサルでも販売される予定です。ダルウィスさんの自宅の裏にはかつて豆を栽培していた土地があります。化学肥料等を使用しておらず、土壌の質が大変良いので、今回この土地を再び耕して畑にし、キャベツを植えました。「ここは水源にも近く、ロケーションも最高」とダルウィスさんは言います。近々この畑を利用して玉ねぎを植える計画だそうです。

今回再びマリノを訪れてみて、有機農法に転換を図ろうとする多くの生産者の熱意を感じました。農家の皆さんは、先ほどのキャベツを含め、赤玉ねぎや人参など、すでにオーガニックの野菜作りに取り組んでいます。このAMDAフードプログラムが、現地における農薬や化学肥料の使用を削減し、また農家の皆さんの収入の増大に繋がればと思います。

 

【5月】

バトゥラピシ地区で栽培されている有機米のほとんどが稲に花をつけ始めました。害虫などから稲を守る為、農家は週二回、防虫用のお粥発酵液(岡山県新庄村にあるAMDA農場の農家秘伝の有機スプレー)を稲に散布しています。

ネズミによる被害を受けている稲

5月下旬の時点で、AMDAの田んぼはネズミによる被害を受けています。ネズミは植物が花をつける頃になると稲を喰いはじめ、対象となるのは往々にして水田の中心部に植えられている苗です。乾季に入り始めると、ネズミの攻撃がより増加します。ネズミによる被害は明らかに米の収穫量の低下につながります。

バトゥラピシ地区のほとんどの農家が、害虫や害獣から野菜や果物を守る目的で、玉ねぎを栽培しています。2018年6月中旬には、玉ねぎも販売用に収穫され、その一部は種として用いられ、再度植えられます。

玉ねぎやからし菜を植える一方、ハゲさんは自身の畑で有機落花生を育てています。落花生用に使っている肥料は牛糞ともみ殻燻炭を混ぜたもので、これを五袋分均等に畑全体に撒きました。種は20cm×25cmの間隔で植えられています。ハゲさんの話では、このほかに苗の養分を補う為、牛の尿をスプレーしているということでした。「落花生の畑では苗の列に牛糞を頻繁に蒔いています。元気に育つよう草抜きもかかせません」ハゲさんはこのように語りました。







バトゥラピシは乾季に入り、灌漑の水量もどんどん少なくなってきています。その為、農家は現在それぞれの畑や田んぼに交互に水を引いています。