参与 今井 康人
会場に熱気 市民ら100人が熱心に聴講
AMDAと赤磐市が主催する「第2回防災国際フォーラム」が2018年5月12日、赤磐市桜が丘東の桜が丘いきいき交流センターで開かれました。テーマは「私たちは熊本地震を忘れない。熊本地震から赤磐市の防災を考える」。参加した市民ら約100人は講演や対談、寸劇を通し、防災の心構え、事前準備の必要性などを学びました。
講演は、16年4月に震度7の地震に2度見舞われた熊本県益城町の広安小学校の当時の校長、田中元先生に依頼、快諾を得て実現しました。同小学校には約800人が避難、グラウンドは二次災害を懸念し、車内で就寝する家族の車で埋まりました。
田中先生の講演テーマは「地震後の様子と避難所運営」。余震が続く中、恐怖とストレスで限界状態に追い込まれた避難民の表情、学校再開に向けた課題や対策、児童と避難民との交流など体験に基づいて話し「備えが不十分だった。油断があった」と地震への備えの大切さを強調しました。
地震後の取り組みを事実に基づいて淡々と話す田中先生の講演はリアルで臨場感にあふれ、ハンカチで涙をぬぐう市民の姿が見られました。
対談は田中先生とAMDA本部の難波妙理事が担当。難波理事は益城町出身で実家が全壊する被害に見舞われた中で、広安小学校で長期にわたり避難民の支援などに取り組みました。2人は「命の大切さ、人の温かさを感じた」「献身的なボランティアの活動に感動した」「災害は忘れた頃ではなく、忘れる前にやってくることを肝に銘じたい」―などと述べました。
寸劇は赤磐市くらし安全課の職員4人が家族団らんの中で、持ち出し袋の事前準備の大切さを強調する内容。参加した市民からは「楽しく防災が学べた」「熱演ぶりに市職員の意欲が伝わってきた」と好評でした。
友實武則赤磐市長
AMDAとの連携協力協定に基づく2回目の防災国際フォーラム。講師の田中先生、対談の出演者選びなどAMDAに協力していたたき、素晴らしい内容となった。災害に強いまちづくりに向け、私が先頭に立ってリーダーシップを発揮していきたい。
金谷征正赤磐商工会長
講演された田中先生は誠実な人柄で、淡々とした話しぶりに好感が持てた。震災時の教師たちの戸惑い、決断などありのままの人間性が伝わり、もっと大勢の人に聞いてほしいと思った。赤磐市も市を挙げ、1日早い防災協力体制を整備すべきだと痛感した。
【 会場の市民の声】
・実体験に基づく講演は心に響き、涙があふれました(60代男性)
・講演内容は新聞やテレビで知る情報よりも詳しく現場の様子が目に浮かぶようでした(30代男性)
・対談は有益な指摘が多かった。忘れないよう心に留め、事前準備に取り掛かりたい(50代男性)
・突然起こる災害に対し、医療活動を含めノウハウのあるAMDAの支援は欠かせないとあらためて痛感した(60代女性)
・災害意識の低い県民にガツンと活を入れてもらった(40女性)
・災害時の学校関係者の苦労が身に染みるほど良く分かった(20代女性)
・対談でスクリーンに流れた映像は、心の深いところに激震が走る思いだった。特に子どもの笑顔には救われた(50代女性)
・とにかく感動だらけのフォーラムだった。きょうの話を教訓に地域の防災体制を真剣に考える必要がある(40代男性)
AMDAがフォーラム会場で「まちかどトーク」開催
AMDAは5月12日、職員やボランティアが市民とふれあう「まちかどトーク」を国際防災フォーラム会場となった赤磐市内の桜が丘いきいき交流センターで開催しました。
まちかどトークは市民とともに歩むAMDAを目指し、本音の会話を通してAMDAへの感想や提案に耳を傾ける狙いで、2017年8月から始めました。
会場ではアンケートの協力も依頼し8枚を回収。その結果、AMDAについて全員が「知っている」と答え、活動を知ったのは大半が「マスコミ」とのことでした。
AMDAへの感想については「宗教、民族を超えた心の絆を大切にしている」「新聞やテレビでスピーディーな活動ぶりを知り、心強く感じている」とする一方で、「海外での活動も大切だが、国内にももっと目を向けて」との希望がありました。