ネパール 障がい者支援活動2016年3月 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール 障がい者支援活動2016年3月

2015年4月に発生したネパールの地震で障がいを負われた方が多くいらっしゃいます。医療機関やリハビリセンターを退院後、生活をしていく自宅は地震の被害を受け倒壊するなど、障がい者にとってバリアが多い環境にあります。障がい者が自立した生活を送ることが出来るようになるまでには、まだ周囲のサポートが必要な状況です。

AMDAは震災によって負傷し障がいが残った方々に対する支援を2015年7月から継続しています。

AMDAにいただきました寄付をもとに現地在住のAMDA理学療法士が車椅子製造技術の研修を実施し、製造した車椅子を必要としている方に提供しています。2016年3月現在までにAMDA支援による14台を含む75台を製造し、提供を行いました。また、障がいによって家から出る機会を失ってしまった被災者に、訪問リハビリを実施し、自立生活に向けたアドバイスや、生活を送る上で必要な物資の提供及びカウンセリングを行っています。車椅子の提供を受けた方は、台所で洗い物をしたり、トイレに行くことができるようになり笑顔も増えてきています。AMDAの支援で提供された簡易ポータブルトイレも車椅子の方から、「とても使いやすい」と、好評をいただいております。

ネパールでは障がい者支援の制度が十分でないため、震災で障がいが残った人が、退院後自立した生活を送ることが難しい環境にあります。このような環境から「自分では何もできない」とふさぎ込んでしまい、家から出られなくなってしまう方が多くいらっしゃいます。心理的にも影響をうけた状態で、体を動かす機会を失い、さらに身体的にも弱ってしまうケースが多くあります。障がい者が自立した生活をできるようにするための人的サポートと福祉用具による支援、そして外に出る機会が現在必要とされています。AMDAでは車椅子製造支援による車椅子と福祉用具を提供し、提供を受けた障がい者の方々のQOL(生活の質)の向上を目指した生活支援も各家庭を訪問して行っています。

AMDAは製造した車椅子の提供を現地の障がい者支援団体CILカトマンズと協力して行っています。CILカトマンズは2016年3月9日~12日「ASIA TRY」というイベントを開催しました。このイベントでは日本を含むアジア各国から障がい者が集まり、社会に対する障がい者の理解促進、障がい者の権利と制度の充実等をアピールするイベントを開催しました。この日、車椅子に乗った障がい者の方とサポートする方がネパール国内から約150人、国外から約80人、計230人が参加しました。ネパール国内の参加者の中には、AMDAが支援を行った方も多く参加されており、現地製造した車いすにお乗りの方も多く見かけることができました。

参加者は6つのチームに分かれてポカラ、キルティプル、ナランターン、ゴダワリ、ドゥリケルの各地点をスタートし1日約10kmを元気よく声を出しながら、お祭りのような雰囲気で歩き、カトマンズ中心部のゴール地点まで行進しました。最終日には続々とゴールする各チームをAMDA理学療法士を含めた支援者らが笑顔でお祝いし、ゴールした喜びを分かち合っていました。

このようなイベントは、個々の障がい当事者自身のQOLの向上の一助となるだけでなく、社会側の変容にもつながり、社会参加を促進することにつながります。














現在ネパールでは、障がい者の方々が自らの意志でベッドから離れ、自らの意志で外に出て、生きがいにもつながる機会を必要としております。そのためには社会側の理解と協力が不可欠です。その機会の一つにスポーツもあります。そこで現地のAMDA理学療法士は、ネパールのナショナル・パラリンピック委員会において、障害者スポーツの発展に向けた提案をプレゼンテーションしました。

このような「器具」「サポート」「機会」によってネパールの『障がいがあっても住みよい街づくり』を目指して、AMDAは活動を継続していきます。