2013年最大級の勢力を持つ台風30号が、2013年11月8日、フィリピン南部の島々に上陸しました。
この状況を受けてAMDAでは、緊急医療支援活動を開始し2013年12月末までに、8か国、のべ25人のスタッフを被災地に派遣し、マニラを拠点にしながら5つの島で医療支援活動を中心とした様々な活動を行いました。
さらに2014年からは復興支援活動に切り替え様々な支援活動を継続する中、この支援活動の一つとして、広島県教育委員会との協働で被災地の子どもたちを対象とした文具支援が実現しました。
現地協力機関からの報告が届きましたので紹介させていただきます。
実施の経緯
この台風による被害は甚大なものとなりもっとも被害の大きかったレイテ島以外の島々でも学校施設なども被災し、自宅の被災で文具なども不足している状況が続いていました。復興を担う世代の子どもたちへの支援は非常に重要であることから、広島県教育委員会を通じて広島県内の高校生へ呼びかけ、募金活動が実現しました。これはAMDAが災害の復興支援において重要視しているコンセプトの一つ「同世代交流」です。広島県内にある33校の高校が賛同してくださり、募金活動に協力してくださいました。
これらの募金をフィリピンで文房具の購入に充て、支援物資として配布しました。
支援物資の配布は、3期に分かれて実施され
1期:2014年3月 広島県の高校生から直接手渡し
2期:AMDA協力者(前レイテ州知事)による文具配布
3期:AMDA協力機関(フィリピン開発アカデミーなど)による文具配布
今回、フィリピン開発アカデミーから最終報告が届いたので、原文を訳したものをご紹介します。
フィリピン開発アカデミーから最終報告
フィリピン開発アカデミー、公共・開発管理大学院、海軍東ビサヤ予備役はAMDAから託された高校生からの募金で、フィリピンビサヤ地区のカタンダンス州、ボホール州、東サマール州、北サマール州とレイテ島で、文具の支援活動を実施しました。
準備した支援物資はバッグ、ペン、ノート、メモ用紙、鉛筆、鉛筆削り、消しゴム、塗り絵、クレヨンなどの様々な学用品をパッキングしてマリボホック中央小学校、グイウアン小学校、セント・ニノ小学校、パロ・パウイング小学校、カタルマン中央小学校、サンイシドロ村小学校などの子どもたち約4000人に一つ一つ手渡すことができました。
この活動は「相互扶助」の精神の下に実施されました。
AMDAからの信頼を受けて支援活動を実施したことで、我々、フィリピン開発アカデミー、海軍東ビサヤ予備役とAMDAの継続したパートナーシップをより強固なものにすることにつながったと思います。
「相互扶助」という言葉は、フィリピンの「バヤニハン」と言う言葉に置き換えられます。
互いのことを思い、協力を惜しまない関係であり、まさにそれが、パートナー団体との間で、救援や人道支援に対する努力、保健システム、開発調査、地域開発事業を戦略的関係構築するための一助となりました。
台風30号による第一の被災者は、何の罪もない無力な子どもたちであると考えており、この被災により格差の広がった貧困で苦しむ被災者・特に子どもたちに対する「教育」こそが最大の支援、最善の特効薬だと考えています。
文具の配布の際には、ひどいどしゃ降りの中ので配布する場面もありましたが、そのような状況にもかかわらず列に並び笑顔で物資を受け取ってくれました。
また、台風によって教室は破壊され、仮設のテントで授業を行っている状態でしたが、こどもたちはきちんと授業に出席しており、そのような教師や子どもたちに会うことで、私たちが逆に励まされ、心が温まりました。
もっと彼らのために何かできたら・・・と心から思いました。
これらの物資配布には、フィリピン開発アカデミー大学院が中心となって、台風30号の被災地へ学用品を購入し、パッキングなどを行いました。
さらに、支援対象となった地方政府や州立大学が交通手段や文具配布のための事前準備、宿泊場所の手配などで協力を申し出てくれました。
また活動に賛同したフィリピン開発アカデミーのスタッフによる募金もあり、物資を調達した文具店の協力も得られ、予定していた以上の数の子どもたちを対象に支援物資を配布することができました。
またチームに同行した大学院卒業生の医師により、子どもたちや協力してくれた大学職員、地方政府の職員に簡単な健康診断を実施することもできました。