9月上旬にモンスーンによりもたらされた豪雨によりパキスタン、インド北部では大洪水が発生し、広い地域で被害が拡大した。この災害の被災者に対し、AMDAは、パキスタン、インド北部に住む双方の被災者に対し、現地団体との共同で日本からはそれぞれ看護師を派遣し緊急支援を行った。
さらに、被災地における支援の需要が非常に高いことを受け、パキスタンの被災地へは、日本からの二次派遣を実施し、特に被害の大きかったプンジャブ州に流れるチェナッブ川沿いの地域を中心に物資・医療支援を行うことを実施した。
10月8日にイスラマバード入りしたAMDA看護師は、現地協力団体であるNRSP(National Rural Support Programme)本部を訪れ、第一次支援後のパキスタン洪水の現状について情報を共有した。現在、被災地では水が引いており、下流の地域まで被害が広がるという恐れはなくなったが、住民は壊れた家の庭などまだまだ屋外で生活している人が多く、医療ニーズもまだまだ高いという状況であった。
そのため、第一次支援に引き続き、パキスタン国内において、洪水で被災した地域の中で3番目に被害の大きかったプンジャブ州ハフィザバッド県で継続して支援を行うことになった。この地域では、県全体の14%が被災した。
10月9日には、前回の支援で購入したテントとして使用できるブルーシートと竹の棒4本をNRSP協力の下、ハフィザバッド(Hafizabad)県ピンディバティアン(PindiBhattian)郡コトベラ(Kotbela)町とバグニュー(Baghneu)町に住む計100世帯に配布することができた。レンガと泥で作られた家は、洪水により大きく被害を受けており、多くの被災者は現在も屋根の無いところで生活している。ブルーシートと竹を受け取った多くの被災者は、家に帰るとすぐにブルーシートと竹を組み立て、簡易テントが出来上がっていた。
倒壊した家屋のあと | 住民にヒヤリングするAMDA看護師 |
ビニールシートの寄贈 | 寄贈したビニールシートが早速、テントに早変わり |
翌10日は、ハフィザバッド県ジャランプールバティアン(Jalan Pur Bhattian)郡コトガジィ(Kotghazi)村にて無料巡回診療を実施した。この医療支援は、NRSPとAMDAの協力で、10月いっぱい続けられる予定である。医師、アシスタント、調剤師など地元の医療専門職の協力により、この日一日で診察に訪れた患者数は246名にのぼった。皮膚感染、筋肉痛、マラリア、腸チフスが多く見られた。この地域は、もともと慢性肝炎の人が多いと現地の方から聞いた。
診療の様子 | 診療の様子 |
診療を終えて薬を受け取り | 診療に訪れたこどもたち |
裨益者からは、
「わざわざ日本から来てくれてありがとう。これは、アッラーの思し召し。」
「普段、医療サービスをあまり受ける機会がなく、このような医療支援はありがたい。」
という声がきかれた。
AMDAは、今後もNRSPと情報交換をしながら、復興支援も視野に入れて支援の可能性を探っていく。