2014年9月6日から7日にわたり、AMDAは第2回災害鍼灸チーム育成プログラムを実施した。
東日本大震災では、避難所での鍼灸治療の効果が注目され、AMDAは現在も東日本大震災の復興支援事業として、岩手県大槌町、宮城県石巻市雄勝町で鍼灸事業を行っている。本プログラムは、今後起こりうる災害に備えて災害鍼灸チームの育成を目的としている。
プログラムの募集人数は定員8名であったが、全国から多くの方に応募いただき、最終的には15名の方が参加した。
9月6日、参加者は大槌町の仮設商店街で昼食をとった後、大槌中央公民館でAMDAが緊急救援時から活動をともにした地元の医師である植田俊郎先生、地元の鍼灸師である佐々木賀奈子先生、明治国際医療大学教授の今井賢治先生からそれぞれ講義を受けた。植田先生と佐々木先生からは、地元の医師、鍼灸師としての立場で、被災したときの当時の状況や、避難所での様子、AMDAの医療チームと行った当時の活動など、当時の映像とともに話をされた。
植田医師による講義 | 佐々木鍼灸師による講義 |
今井鍼灸師による講義 | 講義の様子 |
また、今井先生からは、AMDAの鍼灸師としての活動に加え、鍼灸の学術的な効果や、長期的な避難所生活の中での鍼灸の必要性などについて話をされた。講義を受けた参加者は、メモを取り積極的に質問をして、休憩時間になっても講師の方から話を聞いている姿が見られた。
講義の後、大槌町内で被災した場所を見学し、陸前高田市の高田大隅つどいの丘商店街で懇親会がもたれた。懇親会では参加者同士が積極的にコミュニケーションをとるなど活発な情報交換がされていた。
大槌町内の見学 | 大槌町内見学の様子 |
9月7日、陸前高田から宮城県石巻市雄勝町へ向けて出発した。道中、高田市の奇跡の一本松、気仙沼の漁港、南三陸町の防災庁舎や仮設商店街などの被災地を視察した。雄勝町に到着した一行は、おがつ店こ屋街で昼食をすませた後、雄勝まちづくり協会が運営するオーリンクハウスで、震災当時に大槌町に鍼灸治療を取り入れた米国ウィスコンシン医科大学教授の高橋徳先生と、震災後に雄勝診療所で医師として活動され、雄勝に訪問鍼灸を取り入れた小倉健一郎先生からそれぞれ講義を受けた。
高橋先生からはAMDAの医師としての活動と、学術的な視点から見る統合医療や、災害時における医療者間の共通言語の必要性などについてお話を頂いた。小倉先生からは、雄勝町の現状と医療の崩壊した雄勝町での町と医療再生への取り組みなどについてお話をいただいた。
高橋医師による講義 |
その後、AMDAの事業として震災後から訪問鍼灸をしている雄勝町の名振地区へ移動し、鍼灸師吉田先生から講義を受けた。患者さんにも特別参加いただき、訪問鍼灸について被災地の方々から直接話を聞くことができ全てのプログラムを終了した。
患者さんを交えての質疑応答 | 鍼灸治療の見学 |
吉田鍼灸師による講義 | 参加者全員で |
参加者のアンケートの中には、次の災害に備えるために準備をしていきたい等、災害鍼灸の可能性、重要性を実感した感想が多く寄せられた。