2013年6月中旬、インド北部ウッタラカンド州(Uttarakhand)において豪雨による洪水が発生し、首都デリーを含む広域での深刻な被害を引き起こしている。24日までに約1000人が犠牲となり、約7万人が避難を余儀なくされている。洪水の影響により、道路や橋などの主要インフラが流され、軍のヘリによる避難民の救助活動は非常に難航している。洪水発生から、避難民は既に約7万人に上り、山奥に滞在していたヒンドゥー教巡礼者を含む5万人は孤立状態にあるという(以上CNN-IBN)
この状況を受け、AMDA本部職員でインド・ブッダガヤ市(Bodhgaya)に6月3日から出張中のニティアン・ヴィーラヴァーグ調整員は、発生直後の20日より、AMDAインド支部や現地の協力者との連絡調整を開始し、被害状況の把握に務めてきた。発生から10日以上が経過したが、未だ混乱状況が続いており、正確な情報が得られないこと、また現地の医療ニーズが想定されることから、ヴィーラヴァーグ調整員は、26日に被災地の周辺地域まで移動し、現地調査を実施することを決定した。
26日には ブッダガヤから電車でデリーに到着。27日、空路でウッタラカンド州都のデヘラードゥーン(Dehradun)に到着した。ちなみに、電車は豪雨の影響で大幅に遅れ、観光シーズンが重なっており、交通機関も麻痺している。
ヴィーラヴァーグ調整員によると、ウッタラカンド州には、ヒンズー教の巡礼地とされる寺院があり、毎年、雨期の到来前に数多くの巡礼者が訪れるが、今年は例年よりも季節風の到来が早く、80年間で最も雨量が多かった。各地で避難キャンプが設置され始めたものの、現在も洪水による被害は拡大しており、軍以外の救援者が被災地にアクセスするこ
とは難しい状態が続いているという。現地からの情報を受けて同州ジョシマト(Joshimath)で緊急医療支援活動を予定していたが、計画した時点で一部通行可能であったが道も豪雨により寸断され、さらに政府の規制が厳しいため、現時点での活動は不可能となった。また現在被災地へは、インド空軍のヘリコプターでしか行けず、プライベートのヘリコプターの乗り入れは禁止されている。救助ヘリコプターの墜落事故などにより、20機ものヘリコプター損壊が状況の悪化に拍車をかけている。このため国際NGOだけでなく、インド国内のNGOも活動が出来ない状態である。現時点では、政府は死者560人と発表しているが、現地のニュースでは3万人から5万人が犠牲になっているとの報道が出ており、政府が遺体を埋葬する為に動き出しているという。
洪水被害の場合、緊急時期だけでなく避難後の支援が必要となる可能性が高いことから、今後の状況を注視しながら支援の可能性を模索していく。
■AMDA派遣者プロフィール
ニティアン・ヴィーラヴァーグ:AMDA本部 国際部 緊急救援担当課長/調整員
■これまでのインドでの活動
インド西部大地震被災民緊急救援リハビリテーションプロジェクト(1993年)
インドサイクロン緊急医療支援活動(1996年)
インドサイクロン緊急医療支援活動(1999年)
インド西部大地震被災者に対する緊急救援活動(2001年)
スマトラ沖地震・津波被害に対す緊急救援活動(2004年3か国で実施)
インドビハール州洪水被害に対する緊急救援活動(2009年)
インドピースクリニック運営(2009年から現在)
※なお、2009年に発生したネパールのコシ川を原因とする洪水では下流域に位置するネパールとインドの多数の村で大きな被害が出た。ネパールとインド国境付近の村に被害が広がったため、言葉の問題などから、AMDAインド支部、AMDAネパール支部と合同で支援活動を実施した。
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