日本モンゴル教育病院内視鏡技術研修 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

日本モンゴル教育病院内視鏡技術研修

AMDAは、コロナ禍で中断を余儀なくされていたモンゴルでの内視鏡技術研修を再開しました。

AMDAは、2010年に締結したモンゴル国立医科大学との協力協定に基づき、2017年から2019年まで、毎年、佐藤拓史医師(AMDA理事)が同大学病院で内視鏡技術研修を行っていました。今年は、9月19日~24日まで、佐藤拓史医師に加え、白井保之医師(小倉記念病院消化器内科主任部長)にもご参加いただきました。研修は、2019年4月に日本政府の協力で完成した日本モンゴル教育病院で食道胃静脈瘤や早期大腸がんの治療等を中心とした実践指導を行いました。


まず最初に、佐藤医師と白井医師は、モンゴルの内視鏡チームと上部下部消化管内視鏡(胃カメラ/大腸カメラ)についての実践とお互いの診断治療方針を確認しました。その後、白井医師は、大腸腫瘍の超音波内視鏡の診断や日本で行なっている内視鏡的粘膜切除術のテクニックのポイントを伝え、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の講義を英語で行いました。また、佐藤医師は、初期研修医に対して、日本から持参した大腸カメラのシミュレータを使い基本的なトレーニングを実施しました。今回、モンゴルで研修を行った処置は以下の通りです。
・内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL:Endoscopic variceal ligation)
・内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic mucosal resection)
・超音波内視鏡(EUS:Endoscopic ultrasound)
・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic submucosal disection)
・下部消化管内視鏡(colonoscopy)

今後は、食道胃静脈瘤の治療として内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS:Endoscopic injection sclerotherapy) 、EISL(EIS with Ligation) の導入を目指していきたいと考えています。


また、この研修期間中に、AMDAは日本モンゴル教育病院とも協力協定を結びました。同病院長であるMendjargal Adilsaikhan先生と佐藤医師、白井医師は、今回の研修が医療技術交流における今後の協力関係の発展に繋がると期待を寄せました。

また、今回の活動を終えるにあたって、佐藤拓史医師、白井保之医師、AMDA International参与ニンジン ギリヤセド、AMDA職員、難波妙は、在モンゴル日本国大使館小林弘之特命全権大使を表敬訪問しました。モンゴルの医師の多くが熱意をもって真剣に研修に参加され、患者さんの治療に共に向き合って研修した内容を詳しく説明し、日本から導入されている医療資材の現状についても報告しました。そして、モンゴルの医療の更なる発展を期待して来年も継続して研修を行うことをお伝えしました。


今回の研修を終えての白井医師の感想:
「癌やポリープ、静脈瘤の内視鏡治療についての講義や実際の治療の研修では、皆さんの目は非常に輝いていました。これからのモンゴルの医療、国を改善しようという熱きハートに感銘を受けました。安全な治療をするには技術の習得はもちろんですが必要な道具を入手することも必要です。この度、当院で使用している道具を紹介しその有用性を実感してくれたと信じています。なによりモンゴルの皆さんの歓迎と熱い気持ちに感銘を受け私自身の今後のモティベーションになりました。」