AMDA中学高校生会と黒潮町中学・高校生の交流事業:2022年9月   – AMDA(アムダ)
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AMDA中学高校生会と黒潮町中学・高校生の交流事業:2022年9月  

プロジェクトオフィサー:アルチャナ ジョシ


南海トラフ巨大地震で、全国で最大の34.4メートルの津波が想定されている高知県黒潮町とAMDAは、2015年2月に協定を結んでおり、この協定をきっかけに2017年から毎年AMDA 中学校高校生会の生徒が防災をテーマに地元の生徒とそれぞれの取り組んでいる防災活動について交流を行っています。今年度6回目となる黒潮町中学生高校生との災害・防災についての交流会を2022年9月3日に実施しました。

新型コロナウイルス感染対策のため2020年と2021年はオンラインで交流会を実施しておりましたが、今回は3年ぶりに対面での交流会を高知県幡多青少年の家の会場で行いました。交流会には黒潮町の松本町長はじめ、職員の方、教育委員会の方、黒潮町立佐賀中学校、黒潮町立大方中学校、高知県立大方高校の16名生徒さん、AMDA中学校高校生から11名とJICAペールからの研修員1名が参加しました。松本町長のご挨拶から始まった交流会では黒潮町職員の方から町の防災の取り組みについて説明、AMDA中学高校生会のメンバーからは国内外の災害対応について発表、黒潮町立佐賀中学校、高知県立大方高等学校、黒潮町立大方中学校からは各学校で生徒が取り組んでいる防災活動についての発表、最後にはペールからの研修員から自国についての発表がありました。


交流会の後に本来であれば参加者全員で防災食を作り交流を深める場面を設けたいところでしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためAMDA 中高生会とペールの研修生だけで災害時にも役立つ防災食(アルミ缶炊飯とカレー)の作り方を高知県幡多青少年の家の職員より学びました。

2日目は黒潮町職員の指導を受けながら「逃げトレ」アプリを利用して津波タワーまでの避難訓練を実施しました。その後、黒潮町職員より津波タワーについての説明を受け、黒潮町の住民の方々は常日頃から防災訓練に取り込んでおります。災害いつどこで起きるか分からないから平時からの災害対策の重要性を改めて実感しました。

以下、AMDA中学高校生からの感想分を記載しております。

「2022年黒潮町の中高生との交流会に参加して」

常原拓真:AMDA中学高校生会 チーフコーディネーター

黒潮町の中学・高校生とAMDA中学高校生会(以下中高生会)との交流会を終え、防災に関して日頃から意識するだけではなく、行動することの大切さを改めて感じた。黒潮町は津波による「犠牲者ゼロ」を目指しており、その対策として津波避難タワーの建設、町民全体での避難訓練の実施や各学校防災委員会の活動などが挙げられる。どれも防災に対して考えるだけではなく実際に活動し実践を繰り返すことで、防災が日常生活の一部になっている。

中高生会では、AMDA本部が国内外で災害支援を行なっていることを踏まえ、日本と海外の防災意識の違いについて中高生自らが考え意見をまとめた。今回の活動では海外の防災について本やインターネットで調べる程度しか実践できていないが、今後はその国や地域に必要な防災教育を考え実行し、より防災を日常的に感じてもらう取り組みをしていきたいと思う。

大谷愛莉:高校2年生

今回の黒潮町の交流会に参加して、私は本当に多くのことを学んだ。黒潮町の学生がどんな風に学校で防災に取り組んでいるのか、役場の方々が何を想定して動く様にしているのか、沢山のことを、沢山の方々から吸収した。

しかし、私が1番心に残っている出来事は、お話を聞く最中に投げかけられた、ある些細な質問である。
「岡山県では、なんの災害を想定しているの?」
「岡山県では、どんな避難訓練をしているの?」

津波避難タワーに登った時に、役場の方が言われたこの2つの問いに、私はすぐに答えることができなかった。時間を空けて答えた回答も、「西日本豪雨」や「地震の避難訓練」など単語をつなぎ合わせたもので、正確な答えとは言えなかった。この2つの問いは黒潮町の方にとって、少しの興味から生まれた疑問だったかもしれない。それでも、私にとっては外にばかり向けている目を指摘された様で、とても悔しく思った。

家に帰って、私はまず身の回りの防災から見直すことにした。避難用持ち出し袋の点検や懐中電灯の位置、避難場所の確認・・・想像していたよりもずっと自分の知識が「なんとなく」で終わっていることに気がつき、改めて、黒潮町の防災文化に圧倒された。交流会で学んだこと、教わったことを岡山県、特に自分の地域・家庭でどう取り入れていくのか。そして、AMDA中学高校生会で何ができるのか。次世代に防災文化を繋げていくために、これらの課題に対する答えを考え続けたいと思う。

濵岡小羽来:高校3年生

日本一の津波避難タワーに登って、浸水する高さを体験したことで、津波に対する危機感が増した。岡山は黒潮町ほど津波に対する危機感が無いと思っていたが、黒潮町の活動を知って、いつ、どこで津波が来るかわからないため、対策をきちんとしていかなければならないと思った。CGの津波予想の動画は最近よく見るが、映像という物ではなく、やはり実際に体験することが大切なのだと感じた。

犠牲者ゼロのために、町全体で助け合って、みんなで逃げるという姿勢がすごいと思った。「日本一の〇〇」というキャッチフレーズはインパクトがあって、印象に残った。黒潮町を知ってもらうことで防災に対する意識を変えてもらうには、そのような印象に残る伝え方をすることも大切なのだと感じた。

日本で住んでいるので避難訓練は普通のことだと思っていたが、海外にはできない所もあると知って、驚いた。教育ができなければ、避難訓練もできず、より被害が重なってしまうという負の連鎖をどうにか止めることが出来ないか、と解決策を考えていきたいと思った。

中本侑良:高校3年生

私は、黒潮町に行くまで「津波避難タワー」というものの存在すら知らなかった。避難訓練に関しても、正直面倒臭いものだと感じていた。しかし、南海トラフ地震における想定津波高が34.4mの日本で最も高い津波が来る町の津波避難タワーを見学させて頂いたことで、海の近さ、津波の到達する高さを、身をもって体感し、今まで感じたことのない恐怖と危機感を抱いた。また、黒潮町の中高生との交流で「犠牲者ゼロ」を目指して地域全体で防災に取り組んでいることを知り、私はこれまで「自分は大丈夫だろう」という考えから、地域の防災訓練に一度も参加して来なかった自分を恥じることもあった。今回の黒潮町での体験により知識が増えただけでなく、今まで関心のなかったことに目を向けるきっかけとなった。高校生の私にできることはないかと数日間考えていましたが正直まだ答えは見つからない。とはいえ、日頃から近所の方との交流を大切にしたり、家族や友達に黒潮町での経験を話して知ってもらったりするだけでも実際に犠牲者ゼロに近づけるかもしれないと思い早速実践している。

新井彩友香:高校2年生

黒潮町での中高生との交流会のために私たちの班では海外の防災について調べた。その中でも私が担当されてもらったのはネパールの防災についてだった。調べていくとネパールの方々の思慮深く、思いやりの精神をもち、ルールをまもると言った特徴が防災に生きているとわかった。黒潮町にある学校の方の発表の中で黒潮町のコミュニティの強さは防災にとても生きているということを教えていただいた。特に世界一近い避難訓練と言われている屋内避難訓練が行なわれていることに黒潮町のコミュニティの強さを感じだと共に防災にはコミュニティの強さが欠かせないとあらかじめ調べていたこととつながって強く感じた。

森下 心愛:高校2年生

私は2年前にもこの黒潮町の中高生との交流会に参加したことがある。失礼な話だが、2年前と同じ内容のプレゼンを聞くことになると思っていた。しかし、黒潮町の方々が発表してくださった内容は2年前とは比べ物にならないほど進化していた。2年前よりずっと災害のことを親身に考えており、さらに、他の地域や海外の人にまでその知識を伝えていることに感心した。

一方で、岡山県の防災は何も進化していないうえに災害に対する意識が著しく低いと感じた。黒潮町の学生は下校時に避難訓練をしたり防災バッグを学校に持ってきて見せあったりしていた。しかし、岡山では一切見た事がない光景のように思える。
私は、この交流会で岡山県民の災害に対する意識はまだまだ改善できると学んだ。岡山の防災能力を向上させるために私たち学生の目線でできることをもっと考えていきたいと思った。

平井美紗:高校2年生

今回の交流を通して感じたのは、やはり黒潮町は岡山よりもずっと進んだ防災意識を持っていて、その差は開いていく一方だと言う危機感だ。今回挙げた日本の避難訓練の問題点には黒潮町ではすでに対策が打たれているものも多く、私は一度黒潮町で話を伺っているにも関わらずそれを活かしきれなかったと気づきもっと質の高い発表にもできたはずだと少し後悔も残っている。全体として防災意識を高めるため、今回の反省を活かし来年度はよりステップアップした発表をするためにも、今回参加できなかったAMDA中高生会のメンバーや外部の方へ学んだことを発信する機会があるといいなと考えた。

藤井美羽:高校2年生

私は今回初めて黒潮町での活動に参加して、印象に残ったことが2つある。1つ目は意識の向け方である。津波と闘おうとするのでは無く、日頃海から普恩恵を受けているというふうに考え、海と上手く付き合っていくという考え方はすごく素敵だと思った。皆さんが普段から海や自然にすごく感謝して生活していることが伝わってきた。

2つ目は行動力である。南海トラフ巨大地震が来た時、どれくらいの被害が出るかの予想はどこの地域でも既に発表されていると思う。もちろん地域によって対策すべき問題は津波以外にも揺れや人口など、違うと思うので比べることは難しいと思うが、黒潮町ほど対策を考えている地域は少ないと思う。また町全体が一緒に訓練をしたり津波が来た時に必要なことを考えたりすることも黒潮町にとってすごく大切な活動だと思った。全体で練習することで自分一人が逃げることを諦めたら他の人が悲しむことが想像しやすくなり、避難放棄者0実現が現実的だなと感じた。黒潮町は人口が少ないので、このコロナ禍でも街全体での活動ができていると思う。逆に言うと他の地域では少し真似しにくい取り組み方かもしれませんが、中高生が地域の方々を巻き込んで防災に取り組んだり、寝床から玄関までの避難だったり、参考にできるポイントは多くあった。

今回、黒潮町での防災を実際に見たり聞いたりしてみて、岡山は晴れの国という肩書きや、今まで災害が少なかった分、防災に関してはまだまだ改善出来る点ばかりだと思った。自分のことを考えてみても、学校にいる際の訓練は沢山してきたが、家に1人でいる時はどこに逃げるのか、何を持っていくのか、どこを通るのが安全なのか、分かっているようで分かっていなかった。町全体での活動はすごく大事だと思いますが、日本中にはそれ以前の段階、自分の避難方法すら分かっていない人たちもまだ多くいると思う。岡山で過ごしていては知ることの出来なかった貴重な体験をさせて頂けて、すごく為になった。この体験を自分がすごいと思って終わるのではなく、岡山県、更には日本中に伝えられる取り組みを中高生会として何ができるか考えたいと思う。改めて貴重な体験をさせて下さってありがとうございました。

藤田

この交流会では黒潮町ならではの新しいことをいっぱい知ることが出来た。また、交流会以外にも実際に津波タワーを登るなど岡山では経験をすることができない貴重な体験をすることが出来た。この交流会で聞いた黒潮町の中高生や黒潮町全体の活動のなかで特に心に残った活動が1つある。1つは、日本一遠い訓練である。他にも日本一長いや近い訓練もありますがこれが一番残った。この訓練は、メキシコの学校とオンラインで防災について話す訓練である。私は海外で地震が起こって津波がここまで来たらどうしようとは考えた事がなかったので津波や防災への強い意識がすごく伝わった。

假谷菜永:中学校3年生

今回の黒潮町訪問で一番印象的だったのは「防災文化」という言葉だ。防災というと教育や対策であると認識し、無関心であったり、マイナスなイメージを持ったりしている人が大半だと思う。私もそう考えていた。しかし、黒潮町では防災を文化として捉え、町の発展や交流の促進に繋げており、日本一遠い防災訓練では遠地津波を予想し、メキシコと訓練を行っていた。また、京都大学と協力し、防災のアプリも作成していた。こんなにも前向きに行動できることに驚かされたと共に他の地域との意識の違いも実感した。それは、一人一人が自ら取り組む自助、地域や身近にいる人同士が助け合って取り組む共助、国や地方公共団体などが取り組む公助のバランスを取るための計画も具体的に決められているからだと考えた。

最悪の想定を国から言い渡され、犠牲者ゼロは難しいとされる地域にも関わらず、黒潮町が一番実現可能なのではないかと思うほど充実した防災訓練が多く、住民の意識が高かったことは衝撃的だった。この訪問で得た知識をより良い社会構築に繋げるために少しずつでも周りに発信していきたいと思う。

春田彩寧:中学校2年生

私は今回、初めて黒潮町の活動に参加しました。黒潮町の防災について学ぶことができてよかった。 黒潮町の交流会で、町役場の人からの「防災文化」を作るというお話が特に心に残っている。日本全国に「防災」という意識はあるものの、それを「文化」として取り入れることはないと思って防災についての取り組みが進んでいると感じた。

私は日本の防災について発表するチームで、日本の避難訓練には「いつも同じことしかしていない」「停電を想定していない」「余震を想定していない」などの問題点があることを説明し、個人で状況を判断する力の必要性やその力を身につけるための対策などを発表した。とても緊張したけれど、うまく発表できたと思った。

また、黒潮町の中高生の発表では、地域の人との結束力を強めることや、海外の人とも防災を通じてつながっていることが印象に残こった。自分達が住んでいる地域も結束力を高め、その自分達の地域だけでなく海外ともつながって防災について発信していくことがすごいと思いました。世界規模で視野を持っていることに驚きました。西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山でも防災について知って、改善することができるのではと思いました。

清水菜織:中学校1年生

・初めて交流会に参加して色々なことを体験することができた。
・津波避難タワーの中に初めて入り、高さを肌で感じた。
・夜にみんなでカレー作りをして楽しかったし雨でキャンプファイヤーができなかったが体育館でキャンドルサービスができ思い出になった。