イタリア地震被害に対する緊急支援活動 4 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

イタリア地震被害に対する緊急支援活動 4

2009年4月6日イタリア共和国アブルッツォ州ラクイラ(ローマから北東に約95キロ)でマグニチュード6.3の地震が発生しました。歴史的建造物の多い市街地を中心に建物が倒壊し、イタリア政府の発表によると、4月末までに死者約290人、負傷者約1,000人、住宅を失った人約48,000人が確認されました。[pagebreak]


UNITALSIから頂いた感謝状

AMDAは、地震発生直後からイタリア北部にあるInstitute of International Sociology Goriziaと主に足の不自由な障害者を支援するカトリック系ボランティア組織であるUNITALSIから情報収集を行い、4月10日、この甚大な被害に対し、被災者への医療支援を視野に、医師1人、調整員1人の計2人を派遣しました。

11日、イタリアに到着したAMDAスタッフは、情報提供を受けてきた協力団体UNITALSIのメンバーとして、被災地ラクイラに入りました。被災地では、被害の大きかったラクイラ市街、被災者支援を実施している組織が前線基地として使うコーディネーションセンター、避難キャンプ、大学病院を訪問し、医療ニーズの調査を実施しました。

被災者は、政府、地方自治体、民間組織の連携の下、運営されている避難キャンプで、避難生活を送っていました。官民ともに、事前に訓練を受けたスタッフが支援に携わり、被災者に対して十分な人、支援物資、サービスが提供されていました。例えば、訪問したBagno避難キャンプでは、550人の被災者に対して、150人のボランティアが支援していました。被災者は、内務省から配布された4メートル四方のブルーテントに家族ごとで生活し、それぞれのテントには、小型発電機から電気が供給されていました。テントは、大きな運動場やショッピングセンターの駐車場に整然と設置されていました。キャンプ内には、被災者に3食温かい食事を提供する食堂車両、100人ほどが食事をとれる広いダイニング用のテント(音楽を聴きながら食事が取れるように大型のスピーカーが備え付けられている)、車椅子のまま入れるトイレ、24時間使用可能なシャワールーム、洗濯乾燥機が備え付けられたコンテナ、支援物資を保管したコンテナがありました。このような避難キャンプの運営は、日本の災害支援でも取り入れるべきところが多くあると感じました。

医療に関しては、イタリア赤十字、イタリア全土から駆け付けた緊急医療の専門スタッフ、消防、軍などが中心となって、被災者の支援を実施していました。訪問した大学病院は、地震により、使用不可能となっていましたが、隣接する駐車場スペースにトリアージテント、各診療科のテント他の仮設病棟が設置されていました。地震前に入院していた患者300人の多くは、既に域外の病院に転送され、100人ほどが、仮設テント病棟に入院しており、規模を縮小しながらも病院は機能していました。また、ラクイラの医療支援を統括しているMucciconi医師に面会。遠く日本から支援の可能性を探るべく被災地を訪問したことに対する感謝とねぎらいの言葉を頂きました。医療支援については、全国の病院スタッフ、イタリア赤十字、消防、軍他からの十分な医療スタッフが確保され、被災者へのケアもできているということでした。このような経緯から、AMDAは、医療支援を実施しないことを決定し、代わりに、協力団体であり、Piazza d’Armiの避難民キャンプを運営しているUNITALSIに義捐金を贈り、被災者の避難生活に役立ててもらうことにしました。

UNITALSIからは、感謝状を頂きました。「AMDAの支援に感謝しています。AMDAの義捐金によって、被災したラクイラの人々、特に最も手を差し伸べられるべき病人やご高齢者に対して、支援を継続することができます」と感謝の言葉を頂きました。