フィリピン30号台風 被災者に対する緊急支援活動 AMDA速報8 – AMDA(アムダ)
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フィリピン30号台風 被災者に対する緊急支援活動 AMDA速報8

フィリピン台風30号の支援活動として、レイテ島からサマール島で、フィリピン軍と活動を行ったAMDA医療チームからの活動報告を紹介する。[pagebreak]

■活動地:レイテ島〜サマール島
■報告者:AMDAウィルソン直美看護師、AMDA大政 朋子調整員

27日にタクロバン(Tacloban)に到着したAMDA医療チームは、町の中心地域には支援が集中していることから、フィリピン軍の協力のもと、フィリピン軍所属の医師およびコーディネーター、スペシャルエスコート、AMDA医療スタッフを含め総勢20名ほどの合同医療チームを結成し、支援の必要なエリアへ移動しながら活動をすることを決定。はじめに、タクロバン南部のパロ町(Palo)およびダラグ(Dulag)で物資配布を実施した。さらに トロッサ町(Tolosa)サンロケ地区(San Roque)では巡回診療を実施。ここでは、栄養不足や精神的なストレスによる症状が多くみられた。202人の受診者数のうち77人が子供。また、台風前に大腿部からの下肢切断を受けた女性も、医師不在のため抜糸が出来ず、創感染も起こしており、抜糸と創洗浄を実施した。


陸軍のトラックに支援物資を積む様子

支援物資の配布準備の様子

支援物資配布の様子

支援物資配布の様子

支援物資の配布

集まってきた子どもたちと

28日にはレイテ島タクロバンからサマール島ボロンガン(Borongan)まで陸路で移動。この日はトラック3台に支援物資を積んで、ボロンガンまで海岸を北上しながら終日支援物資の配布を実施した。途中訪れたサントニーニョ(Sto.Nino)では台風被害の後、支援が入るのが初めてということで大変な歓迎を受けた。そのほかにも海岸沿いのバセイ町(Basey)バシアオ地区(Basiao)、 ヘルナーニ町(Hernani)プスワン地区(Pwusuan)とバタン地区(Batang)、マラブ町(Marabut)、キナパンダン町(Quinapundan)などで支援物資として水、衣類、毛布、タオルなどを配布することができた。

また、マッカーサー町(MacArthur)では地域のヘルスセンターには破傷風のワクチン、解毒剤を寄贈した。いずれの地域も露店もなく、高潮被害のように瓦礫が残っている地域が多い。明らかにレイテ島タクロバン近辺より支援の状況が遅れていることが分かった。テントの寄付が多く見られるが、住民はテントを使わず、被災した自分の家に住んでいる。電気もとおっていない地域が続いている。


被災地の様子

被災地の様子

被災地の様子

被災地の様子

29日はサマール島ボロンガン市で医療支援活動と物資支援活動を実施。巡回診療では150人の診察を行うことができた。主な症状としては呼吸器症状、高血圧、発熱など。その他不眠や体調不良を訴える人が多かった。さらにヘルナーニバタンで支援物資を450人に手渡すことができた。30日にボロンガンを出発して、レイテ島タクロバンへ。途中の町ヘルナーニやギポルロス町(Giporlos)、タクロバン市83C地区で支援物資や医薬品を提供した。また支援活動を実施しているフィリピン陸軍のメンバーに、破傷風注射を実施した。


巡回診療の様子

巡回診療の様子

巡回診療の様子

巡回診療の様子

現在、レイテ島タクロバンには1つの二次病院、3つの三次病院が機能しており、仮設診療所なども設置されている。またサマール島ボロンガンにも医療機関が復旧しつつある。しかしながら一次機能医療、つまり「かかりつけ医」レベルの医療が不足している。また2市の間は台風後、道路状況が悪くなっており車でも移動するのに10時間近くかかり、今回支援物資を配布した地域などでは、数時間の移動をしても、医療を受けられる環境がない状況が続いている。また、治安については、支援物資を求めた暴動などは現在起きてはいないが、窃盗やレイプなどは起こっており、刑務所脱走者も40名以上がつかまっていないことから、依然注意を要する状態。また、サマール島南部は反体制勢力の存在や、もともとの貧困地域であることから、支援組織が容易には入っていけない状況が続いている。

なお、この台風30号によるフィリピン全土での被害は死者5,719人、負傷者26,233人。さらに行方不明者は1,779人と報告されている。約1126万人、約238万世帯が被災しており、家屋の被害は121万件を超えている。(フィリピン国家災害対策本部12月4日発表)

【現在フィリピンで活動中のAMDA医療チーム 派遣者プロフィール】
(下記3名を含めこれまでに10名を派遣)

■岩本 智子:AMDAプロジェクトオフィサー
看護師(米国免許)/倉敷市在住(11月18日〜)
■ウィルソン(Wilson)直美:
看護師/オーストラリア在住(11月16日〜)
■大政 朋子 :AMDAプロジェクトオフィサー
東北事業担当/調整員/石巻市在住(11月14日〜)

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