ボスニア・ヘルツェゴビナ洪水 被災者に対する緊急医療支援活動報告 – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ボスニア・ヘルツェゴビナ洪水 被災者に対する緊急医療支援活動報告

5月27日、AMDA看護師は,AMDAボスニア支部の医師らとともにバニャルカから被害の大きかったドボイを目指した。途中の山道が、激しい雨と雹(ひょう)により寸断されていたため、引き返さざる得ない状況だった。そこで改めて翌28日、ドボイでの支援活動を実施した。[pagebreak]AMDAチームは、26日の調査の際にドボイ市内の個人クリニックのほとんどが被害にあっているものの中核となるドボイ医療センターは被害を受けておらず、患者の受入れや被災者への食料提供などが可能な状況であることが判明したため、自宅避難者で病気などのため、支援を受けに出られない人々のために個別訪問を行い、支援を行うことを決定した。

28日には、洪水被害にあった5軒の家庭訪問を行い、健康調査などを実施した。

1軒目の家庭では、住んでいたビル1階のアパートが天井近くまで浸水し、家具や持ち物を全て失っていた。大学の教科書をも失った娘は、「今は、親戚の家に身を寄せている。勉強どころではない。」と言い、彼女の母親も洪水による苦難と苦悩を語った。

2軒目の家庭では、2人の老人がビルの3階で一緒に暮らしていた。事情を聞くと、洪水で家屋をはじめ持ち物全てを失い、健康状態不良の友人を招待し、ともに避難生活を行っており、友人の口数は少なくかなり落ち込んでいる様子だった。

他3軒の家庭は、26日既にAMDAチームが訪れ、支援が必要と判断していた。それぞれが医療施設にも、支援物資を配布する場所にも行くことが困難な家族だった。その中には夫は両足義足で、妻は左足の指を3本切断して、腰痛をもっている夫婦もいた。

それぞれの家庭では、ヒヤリングのほかバイタルサインや血糖値測定をなどの健康チェックを行った。
「気にかけてくれて本当に感謝している。」
「自分たちのことを考えくれる人がいると思うとうれしい。」
とAMDAチームに感謝の言葉を述べた。

その他にも、要支援と判断した3軒の家庭にビタミン補給のためのフルーツや野菜、米、パスタ、肉のペースト、魚缶、クッキー、砂糖、スープの素などの食糧と台所用洗剤、スポンジ、歯磨き粉、石鹸などの衛生用品を寄贈した。

被災の大きさや支援が受けられない家庭もあることから、AMDAはAMDAボスニア支部と協働して、今後も被災した人々の支援を継続していく。