AMDA合同医療ミッション構想 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDA合同医療ミッション構想

「AMDA合同医療ミッション」構想

 新春のお喜びを申し上げるとともに、2010年からのAMDAの新基軸について紹介したい。

 「AMDA合同医療ミッション」構想である。平和への信頼醸成を目的として、AMDAが国内外の大学や医療機関と合同で医療ミッションを派遣する。原則として「相互扶助」のコンセプトを導入している。難民や災害被災者救援を目的とするAMDA多国籍医師団の活動と比較すれば、平時の計画的な医療活動である。

 「AMDA合同医療ミッション」には、「世界遺産と子どもの命」プログラムがある。子どもを裨益者とするプログラムである。世界遺産は遺した民族への尊敬の念を生む。尊敬は平和への相互理解の第一歩である。尊敬なき支援は「援助を受ける側にもプライドがある」というAMDA人道援助三原則に反する。手術を協力して実施する現地の大学・医療機関とAMDA支部とは災害発生時に「相互扶助」の関係を持つ。「困ったときはお互い様」の繰り返しにより、平和への信頼関係を確立することができる。「子どもの命」とは、結婚や就職の障害となる口唇裂・口蓋裂等の手術により社会的生命の復活を意味する。手術の恩恵を受けた子どもたちには、社会へのお返しを期待したい。子どもたちの「相互扶助」の始まりである。将来、子どもたちが医療従事者の道を選べば、「すがなみ奨学金」の対象者になるかもしれない。AMDAの国際相互扶助ネットワークに参加してもらえればこの上ない喜びである。

 日本人の平均寿命は世界一である。女性が86歳で男性が79歳である。いつでも、どこでも、誰でも同じレベルの医療の恩恵が受けられる国は日本だけである。昭和31年に国民皆保険が発足したおかげである。北欧諸国や英国の医療システムは建前上完璧である。完璧であるが故に余裕がない。疾患によっては手術待ちが数ヶ月は当り前である。国民皆保険が整備されていない国の人たちはもっと可哀想である。病気になればお金がかかる。お金が無ければ医療の恩恵を受けられない。地獄の沙汰も金次第とは、このことである。従って、死ぬことはないが過酷な人生を送る疾患を甘んじて受ける人たちがたくさんいる。特に、子どもの時に手術を受けることにより、その後の人生が劇的に変われば奇跡である。AMDAはアジアの各国を中心に「相互扶助」で繋がる国際医療ネットワークを構築してきた。

 災害被災地にAMDA多国籍医師団を迅速に派遣することに威力を発揮してきた。そして、AMDA多国籍医師団を派遣することにより、「まさかの時の真の友」として信頼関係を拡張してきた。この国際医療ネットワークを「死ぬことは無いが過酷な人生を送る疾患」に甘んじてきた人たちに活用することは、AMDAを支援していただいている方々への感謝の証になると考えている。

 カンボジア、モンゴル、フィリピン、インドネシア、ベトナム、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、インド等の国々にあるAMDA関連医療施設に毎年AMDA合同医療チームを派遣できればと考えている。どの国にも世界遺産がある。すばらしい遺産を創り上げた先人たちの末裔であるその国の医師たちと、外科手術を無料で受ける機会のない子どもたちに外科手術を実施することにより、子どもたちの社会的生命の復活を願っている。皆様方のご理解とご支援をいただければ幸いである。