2012年 スリランカ海外フィールド実習に参加した医学生からのレポート – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2012年 スリランカ海外フィールド実習に参加した医学生からのレポート

2012年スリランカ海外フィールド実習に参加した医学生からのレポート

 


Divisional Hospitalの様子

イスラム教の学校

トリンコマリのGeneral Hospitalの病棟

ペラデニヤのTeaching Hospitalの内装

診察をするコロンボ大学の医学生

日本国際保健医療学会学生部会が主催する医学生を対象とした2012年夏のフィールド実習へAMDAではいくつかの実習プログラム提供を行いました。

その中のスリランカでのフィールド実習に参加した医学生からレポートが届きました。

現地での主な活動内容は以下の通りです。
・大学病院視察
(コロンボ大学医学部、ペラデニヤ大学病院、アヌラダプラ大学病院)
・医学部職員とのミーティング
・学校およびコミュニティ訪問
・現地学生との交流
・市内観光
・ホームステイ
・プレゼンテーション

 

スリランカを訪れて
愛知医科大学医学部医学科3年 服部惠

私は2012年8月25日から31日までスリランカを訪れました。現地ではスリランカAMDAのDr. Samarageと彼のもとで働いていらっしゃった職員の方に同行していただきました。スリランカでは現地の病院、学校と行った普通の旅行では見ることのできないようなところを見学させていただきました。

現地の病院の建物は2種類ありました。1つは日本の病院の建物のような作りで、こちらは最近建てられたものばかりでした。もう1つは古いタイプの建物で、渡り廊下が外にあり、病室はその渡り廊下でつながっているという形でした。また、病室はとても広く、1つの病室に20床ほどのベッドが並んでいました。基本的にどの建物にもクーラーがなく、天井にファンがとりつけられていました。新しい建物では酸素ボンベが壁にとりつけられていたり、病理室には高価な機器があったりと日本とあまり変わらない様子でしたが、古い建物になると屋外とつながっているためか、ハエが未使用の医療器具の袋の上にたかっていて、まだまだ衛生面で改善するべき部分が見られました。

スリランカの病院の抱えている問題として、まず、地方の病院と大都市の病院では大都市の病院に患者が集中してしまうことだそうです。スリランカはまだまだ発展の途中で、長い内戦(現地の人は内戦ではなく、テロという認識でした)により大都市と地方との人と物の行き来が遮断されていたことにより、大都市に技術や物が集中してしまいました。私は、スリランカ最大の都市コロンボの病院と小さな町にある、Divisional Hospitalを見学させていただきました。Divisional Hospitalを見学させていただいた日が日曜日だったこともありますが、コロンボの病院が人で溢れていたのに対し、Divisional Hospitalは閑散としていました。また、違う問題として、地域の病院の医療スタッフの不足がありました。東海岸にあるトリンコマリという都市のGeneral Hospitalは大きくてきれいな病院でしたが、医療スタッフの不足が問題になっているそうです。スリランカでは医師も看護師も他の職業の人もコロンボに行きたがるそうです。なぜなら、コロンボは何でもそれっていて、とても暮らしやすいからだそうです。日本でも地域医療に従事する医師の不足が問題となっていますが、スリランカでも地域医師が不足していることにとても驚きました。

今回のスタディーツアーを通して思ったのは自分の英語力が足らないことでした。スリランカにはシンハラ語とタミル語があり、英語が共通語でしたが、訛りが強く、ゆっくり話していただいても、何を言っているのかわからないことが多々ありました。現地の医学生との交流会も開いていただきましたが、日本の医療の仕組みや災害医療についての質問にうまく答えることができなく、とても悔しい思いをしました。私は将来、海外でも働きたいと考えていますが、自分の考えの甘さを痛感し、これからの課題を見つけることができたという点で、このスタディーツアーはとても意味のあるものだったと思いました。

スリランカは内戦があり、まだ情勢が安定していないと渡航前は、家族に心配されましたが、行ってみるとそんなことはありませんでした。スリランカ人はとても優しく、初めて会った人でも、自分の家に招いて、お茶やお茶菓子を振る舞ってくれました。今回のスタディーツアーは本当にたくさんの方々に協力していただき、助けていただきました。忙しい中病院を案内してくださった医師、看護師、医学生の方々、ホストファミリー、Dr. Samarage、そしてこのスタディーツアーを計画してくださったAMDAにはとても感謝をしております。本当にありがとうございました。この貴重な機会を将来に生かし、機会があれば、またこのようなプログラムに参加させていただきたいと思っております。