AMDAインドネシア支部 第2回口蓋口唇裂無料手術プロジェクト報告 – AMDA(アムダ)
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AMDAインドネシア支部 第2回口蓋口唇裂無料手術プロジェクト報告

AMDAインドネシア支部 第2回口蓋口唇裂無料手術プロジェクト報告

11月23日から25日、AMDAインドネシア支部は「口唇口蓋裂無料手術プロジェクト第2弾」を実施した。手術は、南スラウェシ島マッカサル州パロポ市内のサウェリガディン(Sawerigading)病院で行われ、2日間で1歳から7歳までの40人の子ども、そして15歳から27歳までの大人9人、合計49人が無事に手術を受けた。

AMDAインドネシア支部は、事前にマッカサル州市内からバスで11時間離れたパロポ市において事前調査を行い、より患者のニーズに適した形で効率的に活動を実施することが出来た。

以下は、協力チームおよび団体。
マッカサル州からの医療ボランティアチーム
・口腔外科医・顎顔面外科医 5人
・麻酔科医ボランティア 6人
・歯科医4人
・歯科医助手1人
・看護師1人
・医学生2人(AMSAインドネシア)

マッカサル州パロポ市から医療ボランティアチーム
・看護師15人(受付担当3人、手術補助担当8人、術後処置4人)

協力団体
・AMDA インドネシア支部
・イブンシィーナマッカサル病院
サウェリガディン病院
・ペンビーナ財団
・口唇口蓋裂センター
・ハサヌディン大学医学部麻酔科・
・インドネシア歯科協会
・口腔外科インドネシア協会
・AMSAインドネシア支部(アジア医学生連絡協議会)
・寄付者

口唇口蓋裂は、先天性異常の一つで、社会的経済的に弱い立場に置かれた人々の間では深刻な問題となっている。インドネシアの東部および南東部では1986年4月から1987年11月に約300万人の人口のうち、1004件の手術が行われたとの記録も残っており、口唇口蓋裂が歴史的に多くの人々を苦しめてきたことが伺える。

口唇口蓋裂がなぜ起こるのかは未だ詳しいことが分かっていないが、環境的要因や遺伝的要因があり、また、母体にビタミンB6が不足したことが原因であるとも考えられている。口唇口蓋裂は、顎部や言語発達の妨げにならないよう乳児期に手術を受けることが重要である。出生後10週間から3か月までに治療することが理想的とされている。手術が遅れると、話す・食べる・聞くといった基本的なことが出来ないばかりではなく、人間関係を築くうえでも大きな妨げとなる。手術が遅れる原因として「手術代が払えない」ことが挙げられる。今回AMDAインドネシア支部が活動を行ったパロポ市は特に経済的に貧しい農民が多く住む地域であり、手術を受けた子どもの多くが経済的理由から学校に通えていない。

患者が問題なく社会生活を営めるようになるまでには、整形外科、歯科および歯列矯正科、口腔外科、児童心理学および児童保健学といった様々な観点での治療のほか、言語聴覚士や栄養士による包括的なサポートが必要である。今回手術を終えた患者も、一度入院し、術後のモニタリングを続ける。

今回無料手術を受けた乳児患者の親からは、「この手術により子どもの未来が少し開けた気がしてとても嬉しい。心から感謝したい。」との声が聞かれた。

AMDAインドネシア支部は今回手術を受けた患者のモニタリングをしながら、今後も手術を必要とする人々の為に、活動の継続を予定している。