AMDAフードプログラム 2014年度フィリピン研修生受け入れ報告 – AMDA(アムダ)
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AMDAフードプログラム 2014年度フィリピン研修生受け入れ報告

AMDA野土路農場では、新庄村と共同で、2013年度から引き続きアジアへの有機農業技術移転プログラムを実施している。

 

具体的には、アジアからの農業研修生を新庄村に招へいし、約半年に及ぶ有機農業研修を実施。さらに、研修生の帰国後には研修生の母国へ新庄村とAMDAからそれぞれ農業技術者を派遣し研修を行う2部構成で行っている。2013年から開始し、今年で2年目となる。[pagebreak]

2013年度はインドネシアからの研修生受入れを実施した。詳細はこちらから
2年目となる2014年度は、フィリピンで有機農業の指導者をしている2名を研修生として招へいし、「相互研修」を実施した。
6月から11月初頭までの約半年間、「AMDA野土路農場」を中心としてAMDA野土路農場での有機・アヒル水稲同時作農業を用いた稲作のほか、村内の有機農業技術者らの圃場見学や有機農業講習会への参加、岡山県立高松農業高等学校や、島根県立農林大学校、島根県立出雲農林高等学校、広島県農業ジーンバンクなど、県内外にも足を伸ばした。
具体的には有機農業の基礎となる理論の勉強や、土壌分析に基づく施肥設計、堆肥づくり、炭作りなどの研修、農場内にフィリピン研修生の担当するエリアを設けての比較栽培も実施した。
また研修先の島根県立農林大学校からは、生徒を含め40人ほどがAMDA野土路農場へ視察に訪れ、相互研修、交流を実施することができた。

研修生の滞在中は、AMDAスタッフのほか、新庄村アジア有機農業連携活動推進協議会、新庄村内にある任意団体や住民の協力を得て、地域のお祭りへの参加や交流会なども実現し、有機農業研修だけでなく文化交流も実現することができた。

研修後半の10月31日には、新庄村ふれあいセンターでフィリピン研修生による研修報告会を開催し、村民の方々など約30人が集まる中、2名の研修生による活動報告を実施した。
報告会では、「帰国後は、日本で学んだ知識を地域の農家に広く伝え、実践していきたい。AMDAスタッフだけでなく、新庄村の皆さんに大変お世話になり、有機農業だけでなく、思いやりの心など、たくさんのことを教えていただいた。本当にありがとうございました。」と話した。

11月にすべてのプログラムを終え、研修生2名は帰国の途についた。
今後はフィリピンで日本での学びを実践しながら、有機農業指導者として地域の農家へ講習を行うなど、新しい知識を伝えていく予定。
研修生2名の感想

研修生・タンバロ氏

新庄村で6か月間過ごし、たくさんのことを学びました。日本の技術力の高さや、農業の機械化にも驚かされました。土壌分析を自分で行ったことや、顕微鏡で微生物を見たことなども初めての経験で、フィリピンでは国の機関が行う様なことを、日本では個人でも行えることに驚きました。
ほかにも、新庄村の方々との日々の交流や、生活を通して、日本の文化や習慣、気候を肌で感じることができました。特に美しい自然環境には、来日直後から感銘を受け、新庄村はパラダイスのようだと感じました。さらに日本では農業を教える学校があり、教育レベルの高さ、素晴らしさを知ることができたこともこの研修での成果だと思います。
フィリピンと日本では技術や設備の他、気候の違いはありますが、ここで学んだ有機農業の知識と経験を活かして今後も有機農業の指導をしていきたいと思います。

研修生・マルティレツ氏

6か月という短い滞在でしたが、とても勉強になりました。日本で学んだ有機農法を、フィリピンに戻ってからも実践したいと思っています。
特に、米ヌカを発酵させてバイオガスを取り出す技術には驚きました。フィリピンの自分の地域では、ココナツの殻が未利用資源としてたくさんあるので、これをうまく利用してバイオガスを取り出すことができるのではないかと考えています。
また和牛飼育も勉強になりました。すぐにスタートはできませんが2年後くらいには2頭の牛から飼育を始めてみようと考えています。
有機農業を行っている人々との出会い、言葉を超えて同じ情熱を感じることができたこともこの研修で得られたことのひとつです。