AMDAアフガニスタン支部からの便り(日本での研修を経て) – AMDA(アムダ)
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AMDAアフガニスタン支部からの便り(日本での研修を経て)

AMDAアフガニスタン支部の医師であるモハマド・アクバール・アハディ医師(日本アフガニスタン友好病院所属)が、岡山県が実施している国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業として日本に招へいされ2012年8月末から11月末の3か月間、岡山済生会総合病院にて研修を受けました。

研修から2年。
現在のアフガニスタンで患者のために活躍されているアハディ医師から、最近の活動の様子が届きましたので、以下にご紹介させていただきます。
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AMDA本部の皆様

まず、AMDA本部にいるスタッフの皆様にご挨拶申し上げます。そして、私が日本に滞在している間、親切にしてくださったことに心から感謝申し上げます。
私は日本の皆様がアフガニスタンの貧しい人びとのために一生懸命活動してくださることに感銘を覚えました。

私はAMDAアフガニスタン支部の外科医として、岡山県に招聘していただきました。
アフガニスタンへ帰国した後も、日本の人びとや美しい日本の国に忘れがたい思い出がたくさんあります。
日本は第二次世界大戦により荒廃したにも関わらず、しっかりとした教育を受け、勤勉である日本の国民によって国が再建されました。

日本は移動手段が整っており、地方においても環境が綺麗に整備されています。
陸路・海路・空路の全てにおいて交通手段が発展しています。
特に地下鉄、新幹線が充実しています。日本の公共交通機関は、国民のニーズに応えるべく時間に正確に機能しています。
日本の高層ビルは耐震構造になっており、住宅地は整然かつ緑豊かに作られています。

私の3か月間の日本でも研修は、内容が適切かつ時間通りに進められました。
岡山県国際交流協会の方には大変お世話になりました。
済生会病院では、英語での研修を受けることができました。
時折、日英通訳の方にも同席してもらいました。

大変有能な外科医である三村先生から実技研修を受けることができた他、三村先生によって、他の科や医療スタッフの皆様にもご紹介をしていただきました。
著名な病理学者である浜家先生からは、救急科、理学療法科、放射線科、超音波科など、病院の様々な科の情報を教えていただきました。

私は医療に関する新しい知識や情報、そして患者さんへの医療サービス技術を学びました。
更に、外科手術にも参加させていただく機会をいただきました。
アフガニスタンでは行うことができないような治療の能力を身につけることができました。
病理の冷凍室での迅速な判別法、血液造影で冠状動脈にステントを入れて透析のために動静脈シャントを最疎通する方法、MRIやCTスキャンを使った広範な検査の方法、高度な技術を使った顕微鏡診断を学びました。
超音波検査で肝臓腫瘍を診断して病院での手術を行う一連の方法は、アフガニスタンではほとんど行われていないものでした。

また、鍼灸に関する貴重な情報を得ることができました。
病院の屋上に着陸するヘリコプター、病院の食事のメニュー、保険会社や製薬会社との連携についても学びました。
岡山県国際交流協会からは日本語の平仮名やカタカナを学ぶのに役立つ教科書をいただきました。

他の先進国とは共通していることかもしれませんが、私の国アフガニスタンとは違っている多くのことに気づき、感銘を受けました。

日本での研修プログラムの最後に、三村先生のご配慮により、超音波検査装置を済生会病院からアフガニスタン日本友好病院のために寄贈していただきました。それは、恵まれない患者さんたちのために使われる、かけがえのない贈り物として、私たちはとても感謝をしております。
超音波検査装置はトルコ航空によってカブールに運ばれ、全ての税関手続きを終えた後、アフガニスタン日本友好病院で使われています。

私は、現在、アフガニスタン日本友好病院の外科医として働いています。日本で勉強した医学の知識と技術は、私がここで患者さんのために働く上で大変役に立っています。私は、与えられた環境や条件のなかで、患者さんを診察し治療をすることに精一杯の努力をしています。

私は、患者さんの治療において自分の技術や知識を最大限活かそうと努力しています。
例えば、アフガニスタンでは付属器の嚢胞には、卵管卵巣摘除術による治療を行っておりますが、済生会病院の外科医は嚢胞だけを取り除く手術をして生体構造は残すようにしています。

日本は超音波検査は専門の検査技師によって行われていますが、アフガニスタンでは医師が取り扱っています。
現在、寄付された超音波検査装置は、電流の変動に対応できるようにスタビライザーに繋げて、男性と女性の患者さんに使っています。
私は、アフガニスタン日本友好病院の同僚たちに超音波検査装置の使い方を教えようと努力しています。

  

現在、アフガニスタン日本友好病院では、病院を利用する患者さんたちに最善のサービスを提供できるように努めています。
現在提供しているサービスは、歯科、産婦人科、内科、小児科、整形外科、顕微鏡診断、超音波検査、予防接種、看護と薬局です。

私が同僚や患者さんと話す時にはいつでも日本での記憶や感情が思い起こされます。
アフガニスタンのような発展途上国の国民にとって、日本のように教育が充実していて発展している国を訪れて研修を受けるということは、とても貴重で重要なことなのです。

私は、学識に優れて勤勉な日本の人びとに、研修の機会をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。
日本で得た医療の技術や知識は、私が災害等の医療支援やAMDAの活動でアフガニスタンの恵まれない人びとに医療サービスを提供する上で、確実に役に立つでしょう。
アフガニスタンの貧しい人や災害に遭った人びととAMDAの友好関係、そして人道支援はますます強化されていくことでしょう。

私はAMDAアフガニスタンの一員として研修を受けられたことに心から感謝しておりますし、このような研修がアフガニスタン日本友好病院のスタッフに対して続けられますように希望致します。

AMDAアフガニスタン支部
(日本アフガニスタン友好病院所属)
医師 モハマド・アクバール・アハディ