マリノ農場からの活動レポート 2015年5月10日 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

マリノ農場からの活動レポート 2015年5月10日

AMDAでは2011年からアジアへの有機農業技術移転を目的としたAMDAフードプログラムに取り組んでいます。
2013年度に開所したAMDAフードプログラム マリノ農場へ技術指導に訪れているスタッフからレポートが届いたので以下に紹介します。[pagebreak]

マリノ農場からのレポート 2015年5月10日

5月4日から収穫調査と分析のためインドネシアスラウェシ島南スラウェシ州のマリノに来ています。
AMDAは2013年からマリノで生活向上のための有機農業プロジェクトを進行中で、有機栽培米を作っています。

例年だと5月の末ころから収穫が始まるのですが最近インドネシアでは異常気象のためか気候が安定せず、今年は長雨のため収穫が一ヶ月近く遅れているとのことでした。

今年1月に植えられた稲ももうすぐ一斉に穂を出し始める様子です。
今回の訪問の目的は、お米の収穫量をや品質を決める原因がなんだったのかを農家が自分たちで分析し、収量や品質を向上させるためにはどうすれば良いかを考えてもらうための調査分析の方法を教え、覚えてもらうことです。

今年は調査のための田んぼを5つに分け、それぞれに違う種類の肥料を入れどの肥料が一番現地に合っているのかという実験をしています。
稲の生育期間中は毎週現地のスタッフに生育の違いを調べるための調査をしてもらっていました。

残りは収穫量の調査です。
さらに収穫時の1株あたりの穂の数や米粒の数、千粒の重さなどを計り分析することで、生育期間前半の肥料が足りなかったから肥料を増やそう。とか稲の花が咲く時期に日照が不足していたから田植えの時期を次は遅らせよう。などおおよその制限要因と対策をつかむことが出来るのでその分析方法を農家に覚えてもらえたらと思っています。

お米の収穫量が増え、品質も向上すれば農家の収入が増え生活向上につながることから収穫量や品質を上げるために次にどのようにすればいいのかを自分たちで分析し考えていくことは大切なことです。

一口に穂の数や重さを量るといってもこれは簡単なことではありません。
ところ変われば田植えから水管理、収穫の方法も違います。
例えばお米の単位。日本にもお米を計る単位は1合とか1升とか1俵とかいろいろありますが基本的には収量を計るときには重さの単位kgを使っています。

一方こちらでのお米の単位はこの右の写真のような束を単位にしています。
これで3イカット(束の意味)のお米です。束ねる人によって1イカットの量はかなりムラがあるはずなのですが、現地の人は今年は束の数が多いから豊作だったなどと話したりしているようです。

また日本では田植えから稲刈り、籾の乾燥、精米に至るまで高性能の機械で行いますが
こちらはまだまだ手作業も多く、機械の性能も日本ほど多機能で良くはありません。

例えばこれ、何だと思いますか?
 
これは稲の収穫の道具で現地語でパーカットといいます。

現地では上の右側の写真のように握って刃と指で稲穂を挟み、1つ1つ穂だけ刈り取る穂刈りを行っています。
収穫に多くの労力を必要とするためゴトンロヨン(助け合いの意味)と呼ばれる稲刈り組合のようなものを組織し持ち回りで稲刈りをします。

仕事に参加した報酬は、3イカットのお米です。
こちらで滞在させてもらう間現地のやり方をよく勉強し、じっくりと吟味しながら現地に合ったやり方を教えていけたらと思います。