10月2日から4日、AMDAはインド・ブッダガヤにて、地元ロータリークラブやライオンズクラブ協力の下、台湾IHAと合同で無料歯科診療を行いました。
AMDAと台湾IHAは、以前からインドネシア、スリランカやトルコにおいて白内障手術、口唇口蓋裂手術、歯科診療プログラムを行っており今回で、6度目の合同医療ミッションとなります。この歯科診療活動には、歯科医師、歯科衛生士、調整員の3名が台湾IHAから現地に派遣されました。
今回の活動地であるブッダガヤは、インドの中でも最貧層の多い地域です。ここでAMDAは、太生山一心寺様にご協力頂き、6年間に渡りAMDAピースクリニック(APC)を運営しています。昨年10月からはクリニックのあるマスティプール(Mastipur)村での母子保健活動に加え、APCでの産婦人科医による無料母子診療サービスを月2回行っています。
3日間にわたって行われた今回の無料歯科診療活動には、地元ライオンズクラブ会長である歯科医師を中心とする歯科診療チーム、ガヤロータリークラブ、ロタラクトクラブが協力しました。ブッダガヤでは珍しくないことですが、活動期間中に何度も停電に見舞われました。このような不便な環境にも関わらず、AMDAから派遣された1名の調整員とともに歯科医師たちは懐中電灯や発電機を駆使してこの状況を切り抜けました。診療後には、歯ブラシ、歯磨き粉と舌クリーナーが入った口腔ケアセットを受診者に配布しました。治療対象者は主に20〜30代でしたが、下は6歳から上は70歳まで幅広い年齢層の診察を行いました。
1日目はAMDAピースクリニック(APC)が活動対象としている妊婦と母子への歯科診療が実施され、台湾IHAチームは地元歯科診療チームと共に30名以上の患者さんを診ることができました。主な治療内容は虫歯治療、歯石の除去や歯のクリーニングでした。
2日目は活動地域の学校に通う子ども達を対象に行い、APCに隣接する一心寺には100名以上の子ども達が集まりました。台湾チームは口頭で歯科衛生教育を行った後、ビデオプレゼンテーションを実施しました。参加した子ども達は食い入るようにスクリーンを見つめ、楽しみながら多くの事を学びました。その後、台湾チームはAPCスタッフ協力の下、参加した子ども達の口腔内を診察し状態を記録しました。今後APCが同地域で子ども達を対象に歯科診療活動を行う際には、この診察記録が大変役立つと考えています。
2日目の午後と3日目の終日行われた歯科診療では、一般の人を対象とした歯科診療活動が行われました。台湾と現地の歯科医師たちは互いに協力し、マスティプール村で初めての無料歯科診療を行うことができました。活動の中で、AMDAピースクリニック(APC)から5kmほどの離れた小さな村にある、孤児院も訪れました。そこで生活する70人の子ども達に口腔衛生教育を行い、加えて口腔ケアセット(歯ブラシ・歯磨き粉・舌ブラシ)を配布しました。
診療を受けに来たほとんどの人にとって人生初の歯科治療だったため、歯科に関する知識やデンタルケアへの意識はほぼゼロに近い状態でした。結果として、虫歯がかなり進行しているにも関わらず、大半の患者さんは抜歯を拒む傾向にありました。地元医師や村のリーダーによると、定期的な歯科診療や住民の意識改善に向けた口腔衛生教育への需要は大変高いとのことでした。
AMDAピースクリニック(APC)スタッフもまた、台湾チームと共に力を尽くし、貧困層の人々に医療を届ける一端を担えたことに喜びを感じていました。
3日間の活動は無事成功に終わり、ブッダガヤ・ライオンズクラブやラタラクト・クラブ・ガヤ・ロータリークラブを始め、学校や孤児院そしてマスティプール村の議員など、多くの方々がこの度のAMDAの企画・運営に感謝の意を表されました。