ただ今の活動は、障がい者を主な対象として活動をしておりますが、その一環でカトマンズ市内にある避難所を訪問して以来、避難所での活動も定期的に実施しております。
昨年4月25日の震災から1年以上が過ぎているのですが、カトマンズ市内でもテント生活者はまだ多数いらっしゃいます。そして今年5月と6月には、避難生活の続く地域も時々訪問して健康状態を見させていただきつつ、理学療法士としてできる事を見出して活動を行ってきました。
今回は、そのカトマンズで唯一残る避難所訪問について、まだまだ小さな活動ではございますがご紹介をいたします。
場所はカトマンズ市の東部。近くにはボーダナートという仏塔の近く、チュチェパティという地区にあります。テントに書かれている番号では、500前後のテントがあるようです。
5月の訪問時には、この避難所で生活をしている5名の障がい者の方を中心にリハビリテーション指導や車いす、白状杖の提供を実施いたしました。ここでは、震災によりお怪我された方は左脛骨骨折後の方(写真?)がお一人いらっしゃっただけですが、避難所生活の問題は日本の皆様でしたらご理解いただけると思います。長い避難生活は普段生活するための行動が少なくなる為、生活不活発病との関連が強くなります。特に避難所生活をされている方々は自宅に帰ることもできなかったり、経済的にも厳しい方もいらっしゃいます。国の援助も必ずしも十分とは言えません。そのため適切な治療やケアが十分でないことが生じてきます。特に手術後のリハビリテーションについては、治療費負担を軽減させるために、病院で十分受けないでいらっしゃるケースが見受けられまました。
このような事から、理学療法をどのように行ったらよいのか、お一人お一人の状態を見させていただきつつ運動指導を実施してきました。
そして6月にも再度、同避難所を訪問しました。6月の訪問では、先に避難所の住民の代表をしている方々と、管理事務所のテントにて、前回訪問した方々のご様子について現地に住む女性の方々とお話をしてから、各テントを回りました。現地に住んでいらっしゃる方がたの情報はとても的確で参考になる情報が多くございました。その結果、6月の訪問では、前回の訪問した方の訪問が終わった後に、更に5名の方を訪問してほしいとの事でテントを巡回しました。その結果、当日ご不在だった2名の方を除き3名の方について訪問させていただきました。いずれも震災による怪我や病気ではなく、以前からあった病気や怪我でしたが、長期間受診もしないでテント生活をしていた事による状態の悪化が見られました。一部の方は既に医療機関を受診加療なさっているケースもありますので、そうした方々は引き続き受診を継続するようお勧めしております。それは、本来であれば現地の医療機関に引き継がれるのが理想だからです。しかし最貧国のネパールではまだ経済的な事情もあり医療機関での治療を受けていないケースも見つかります。カトマンズ市内では震災の傷跡は外見上は分かりにくくなってきておりますが、この避難所だけは取り残されているように感じています。
日本は東日本大震災を経験し長期間の避難生活がいかに生活のリズムを崩して健康にまで影響するのかという経験もした世界でも数少ない経験のある国だと思います。その日本での経験をネパールでも活かされるよう、今後もこの避難所を訪問してみたいと考えております。特に高齢者や障がい者の方々の生活不活発病は気にかけている所です。