出張報告:2018年フィリピン・マヨン山噴火被災者支援 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

出張報告:2018年フィリピン・マヨン山噴火被災者支援

出張報告:2018年フィリピン・マヨン山噴火被災者支援

【はじめに】
2018年2月9日、日本からマニラに到着した私は、同日夜6時頃、AMDAフィリピンのナヴァロ支部長にお会いし、翌日のアルバイ州での医療支援活動について打ち合わせをしました。ナヴァロ支部長によれば、すでにAMSAフィリピン(ビコール大学支部)が現地入りして眼科手術を行っており、健康診断や血圧測定、避難者の健康相談などを実施しているということでした。これが功を奏し、後にAMDAの医療チームが現地に駆け付けた時には物事が大変円滑に進みました。ナヴァロ支部長は、今回の医療活動が病気の治療や薬の処方のみならず、被災者の健康管理を目的の一つとしていることを挙げました。

 







今回私達の活動場所となったのはアルバイ州コトモン・カマリグの集落にあるCotmon High Schoolという学校でした。避難所として使われていたこの学校には、近隣のカバンガン地区の住民達が避難してきており、24の教室に266世帯1,071人が避難していました。1つの教室には子供、お年寄り、妊婦、授乳期のお母さんと赤ちゃんなど、約10世帯が避難していました。

【活動内容:2月10日】
ナヴァロ支部長率いるAMDAの医療チームは、Toyota Vios Fairview Club (TVFC)、AMSAフィリピン支部、ビコール医科大学、Dapoy、Sanggawad、AMSA CMOなどの協力を得て、被災者に医療サービスや支援物資の提供を行いました。ボランティアとして参加したのは、マニラから来た医師、看護師、歯科医ら38名を含む総勢100名を超える人達です。この中には、ビコール医科大学の学生、現地の医師やDapoyのチームなども参加しています。

 







午後1時半頃、Cotmon High Schoolに到着すると、ナヴァロ支部長は、ボランティアの医師と看護師を10のグループに分けました。1つのグループが医師2名、看護師と医学生がそれぞれ1名ずつという配置で、各グループが2つの教室を受け持つことになりました。最も多かった症例として、高血圧、喘息、肺疾患、せき、呼吸器系疾患、下痢が子供と大人の両方に見られました。また十代の患者には、このような混沌とした状態のせいで精神的なトラウマを抱えているケースも見られました。学校が休校になっている為、生徒達の学習面に支障が出ている様子でした。

【救援物資の配布】
医師が患者の治療にあたっている間、他のボランティアは救援物資の配布準備を行いました。各世帯に配布する米、麺類、缶詰、ジュース、トイレ用品、衛生用品などの物資を1つのバケツにまとめました。薬を受け取った後、266世帯から成る各家族は列に並んでこれらの配給を受けました。AMDAの医療チームはまたネビュライザー(耳鼻科用の吸入器)、血圧計、体重計、毛布などを村の診療所に寄付しました。

 







【被災者の話】
避難所で直接被災者の方に話を伺うと、お年寄りのご婦人は自宅と畑が灰で覆われてしまい、収入源である家畜も死んでしまったということでした。また別の女性は、避難所にお風呂(シャワー)がないことや、プライバシーがないことを難点に挙げていました。

このように依然として先行きが見えない状況にあっても、被災者の方々は笑顔を絶やしませんでした。私達の支援物資を受け取る度に、「ありがとう」と謝意を表していました。








【文責:西アニー(調整員)】