報告者 藤田 美樹(看護師)
(派遣期間:H30年9月23日〜9月29日)
H30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震の被災者支援活動、今年3月に北海道から転居しまだ仕事を始めていなかった為自由に動くことができることと、住んでいた北海道が被災したということで何か役に立ちたいと思い参加しました。
私が現地に到着したのは、整然と並んだ段ボールベッドの間に、プライバシー保護の為のパーテーションが設置された日でした。地震から2週間以上が経過した避難所は、昼間は被災した自宅の片付けや新たな住宅の家具や家電の買い物などに外出する人が多く、とても静かでした。昼間は宮城県の保健師チームが活動、午後3時30分に引き継ぎを受けて夕方から夜間、翌朝まで活動して午前9時30分にまた保健師チームに引き継ぎます。AMDAの活動時間は外出した被災者の皆さんが戻って来て夕食を摂り、洗濯したり、テレビを観てお茶を飲んだり、ご近所同士でその日の出来事を話したりして過ごされる時間です。そして体を休めて朝になると朝食を摂り、その日の活動の準備をして出かける方を見送ります。病院と異なり避難所では医療的な処置や看護が毎日必要な方は少なく、実際に相談に来られた方は、自宅の掃除中に足の裏を切った、虫に刺された、喉が痛い、などのケースです。傷の状態を確認して絆創膏を貼る、刺された皮膚を観察してムヒを塗る、発熱などの風邪症状がないか確認して一緒に嗽をする、そして翌日に声をかけて症状が良くなっているかを確認しました。
AMDAが担当した避難所には精神疾患を持ち昼夜逆転の生活を送っている方がいたので、昼に長時間眠ってしまわないよう保健師チームと巡回の医師、運営スタッフと情報を共有して解決策を相談、寝る前の薬の声かけや昼間の活動計画を一緒に話すようにしました。避難所の看護師として最も重要な役割は、避難者の皆さんに声をかけて井戸端会議のように話をしながら、体調や生活の変化や心配事がないか、食欲はあるか、表情や話す声はどうかといったその日の状態を観察し、健康管理の支援が必要かどうかを判断する事だと考えます。血圧が高くなった事があるという話を聞けば、1日1〜2回血圧を測定して数値を伝える、共同生活で気が休まらないと話す方には個室で足湯をしながら30分程過ごしてもらう、歩行器や杖歩行している方には足のむくみがないか観察し足湯サービスや体操サービスの情報を提供する、といった活動です。活動期間の後半には他の避難所で手足口病や風邪などが発生し、水道の蛇口やトイレのドアを定期的に消毒する感染症対策も保健師チームと計画し、後任の災害支援ナースに引き継ぎました。
今回の避難所での活動を通して感じた事は、被災者の方をどこまで支援するかを判断する難しさです。避難生活を少しでも心地良く過ごして欲しい、という気持ちからどんな事にも手を差し伸べてしまうと、知らず知らずの内に被災者の自立を阻む事につながってしまうのではないかと思うケースがありました。
避難所は一時的な生活の場所であり、時期がくれば閉鎖される場所です。被災者の皆さんが元の生活や新たな生活の場所に移って行く事を考えて準備できるような環境を整え、支援内容を検討する事はとても難しい事ですが、支援者として忘れてはならない事だと切に感じました。このような活動の機会を頂いたAMDA関係者の皆様、その他、活動にご協力頂いた皆様、どうも有り難うございました。