インドネシア・スラウェシ島地震緊急医療支援 参加医師からの報告 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インドネシア・スラウェシ島地震緊急医療支援 参加医師からの報告

緊急救援ネットワーク 医師 岩元 祐太
(派遣期間:平成30年10月6日〜平成30年10月16日)
(派遣場所:パル、スラウェシ、インドネシア)

9月28日午後6時過ぎに発生したインドネシア・スラウェシ島地震の被災者に対する緊急支援活動に、10月6日より11日間の日程で参加させていただいた。[pagebreak]

1) 支援活動参加の経緯

−参加に至る経緯についてお書き下さい。今回参加を決断された理由は何ですか?

普段より、他の国際NGOでの活動に参加しているが、AMDAでの緊急支援活動への参加は今回が初めてだった。日本にいるタイミングがあったのと、自然災害でのコンテキストでのミッションはいままで活動経験がなかったため、自分の今までの経験や知識を活かすことができたらと思って参加した。

−参加する前にどのような意気込み、お考えをお持ちでしたか?

自然災害のミッションは、紛争地や感染症の流行といったコンテキストより超急性期での医療ニーズが高く、またニーズの十分なアセスメントができずに参加することになると思っていたので、フレキシブルに活動する必要があるだろうと考えていた。

−参加前後の変化

他の医療支援団体と活動を一緒にすることも多かったので、団体ごとにおける規模やアクティビティ、団体としてのミッションなど、AMDAを含めNGOにより違いが多くあることがわかり、そういう部分での学びが多かった。

2)活動に参加して気づき、感想

前述の通り、医療ニーズを十分に把握したうえでの活動は超急性期では難しいため、現地入りして、協力団体との話し合いにより活動内容、活動範囲を決めていくこととなった。災害発生から1週間が経過し、外国人の医療団体をこれ以上受け入れるか、政府・地域主導で収拾をはかるかを決めるという段階にも入っており、そういう意味で単純に与えられた仕事をするのではなく、現地でのニーズを探っていくというのが活動の中心でもあった。幸い、現地では協力団体のサポートもあり、医療・ロジスティクス両面から支援活動を行うことができたと思っている。

現地でのニーズを迅速に把握し、あくまで限界を理解したうえで被災者の方々に何らかの形で貢献することが肝要だと思った。

3)現地支部や現地協力者との関わり

今回の活動では、AMDAインドネシアだけでなく、Anutapura hospitalの医療スタッフ・TMAT・Arteria(現地大学の医師・医学生で構成された医療活動団体)の協力もあり、支援活動を行うことができた。支援したい・サポートしたいという気持ちをもって現地入りしても、現地団体の協力がなければ活動は自己満足的なものになる可能性もあり、また非効率的にもなってしまう。そういう点で現地スタッフは、快く向かい入れてくれ、また生活の面でもサポートしていただき、意味のある支援活動へとつながった。

4)被災地の様子、被災者の声

地震・津波・液状化の影響を直接的に受けた地域では、建物の倒壊が激しく生活を継続するのは明らかに不可能な状況だった。生活の場や、時には家族や知り合いを一瞬にして奪われた心境は筆舌に尽くしがたいものかと思われるが、インドネシアの人々のいつでも笑顔を忘れず、我々外国人に対してもフレンドリーで快く受け入れてくれる気持ちは支援活動をしていく上で本当にありがたく、こちらが支えてもらうことも多くあった。活動中に、家族をなくした人や、両腕を熱傷してでも我が子を助けようとしたが叶わなかった被災者の方と話す機会があり、気丈に振舞っている様子も多く見受けられた。急性期が落ち着き、医療面からの精神的サポートが今後拡充されることを強く望む。