ルワンダでの2019年度学校健診を終えて – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ルワンダでの2019年度学校健診を終えて

長崎大学熱帯医学研究所 カリオペ・シンバ・アキンティジェ

 

ポスター発表を行う筆者

カリオペ・シンバ・アキンティジェ医師(ルワンダの教育を考える会、現地事務所代表)が2015年より長崎大学、AMDA、岡山大学等とともに継続的に取り組んでいる学校保健の活動について、九州大学で発表を行いました。報告が届きましたのでご紹介いたします。

ルワンダ −サブサハラ・アフリカ地域における就学児童の現状

ルワンダを含むサブサハラ・アフリカ地域では、就学児童(5歳から12歳)の健康管理がなおざりにされており、適切な診断を受けることなく病気で苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。児童の健康水準を向上させる上で大きな壁となっている[pagebreak]のは、教師、保護者、そして児童自身の健康に対する無関心さです。

必要とされる学校健診

心身の不調は、子どもたちの将来に深刻な影響を与えます。これらを早期に発見する上で必要不可欠となるのが、画期的な技術を用いて行われる学校健診です。学校健診は、国連の『持続可能な開発目標』(SDGs)が掲げる「健康」に関する項目のみならず、教育や、ひいては*ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を包括的に推進するものです。このような観点から、学校健診の導入は“有意義な投資”といえるでしょう。
*UHC=全ての人が、自らが賄える範囲で適切な医療サービスを受けられること

ルワンダで行った学校健診とその知見

NPO法人ルワンダの教育を考える会は、AMDA、フェリシモ、岡山大学、長崎大学と協力して、2015年よりルワンダで学校健診を行っています。対象は、首都キガリにある学校(二ヶ所)ならびに北部ギチュンビ地方の学校(一ヶ所)に通う3歳から12歳までの児童です。学校健診では、多くの子どもたちの診断を通じて、様々な健康状態に接することができます。これらの経験から得た知見を、私は2019年11月19日から九州大学で三日間に渡って行われた国際会議で、ポスタープレゼンテーションとして発表しました。

九州大学での国際会議

ルワンダで行った学校健診では、まず記録用紙に多くの項目を手書きで記載するのに時間がかかり大変でした。診断結果の回収が時として困難であったこと、診断結果を保護者に正確かつ迅速に伝えることが難しかったこと等、多くの困難に直面しました。これらの問題をテクノロジーの力で解決するという未来的な視点から、私は自分の発表を「“生徒の医療ケア”アプリ:ルワンダの学校保健に変革をもたらす就学児童用メディカルケア・ツール」と題して行いました。

会議は、様々な機関から出席した参加者との意見交換を含む、非常に有意義なものとなりました。母子健康分野を専門とする多くの研究者と接することができ、彼らとの将来的な協力に期待を寄せた次第です。

一連の活動を終えて

会議二日目を終えて

ルワンダにおける学校健診プログラムは、児童が健康な状態で勉学に励むことのできる環境を整える上で、一つの契機となります。私の務めは、学校健診がルワンダのすべての学校で行われるよう、政府を含む多くの関係諸機関と協力していくことです。今回、研究者や実業家など様々な方々との意見交換を通じて、私はソーシャルビジネスについて関心を持つようになりました。この会議は、自分の研究発表に留まらず、学校健診プログラムの現状と今後の計画について他の研究者と共有できる絶好の機会となりました。

脆弱なコミュニティーの恩恵となるよう、これらの研究成果を実行に移すことこそ、持続可能な開発目標を達成する上で不可欠であると確信しています。