バングラデシュ北部寒波被災者に対する緊急救援 現地NGO・AFADからの報告 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

バングラデシュ北部寒波被災者に対する緊急救援 現地NGO・AFADからの報告

プロジェクトオフィサー 橋本 千明

 

毛布の物資配布の様子

2020年1月31日から2月3日にかけて、バングラデシュ北部クリグラム県にて実施された緊急救援の報告が届きました。これまでも連携してきたクリグラムを拠点とする現地NGOのAFADと、AMDAバングラデシュ支部が合同で実施しました。

クリグラムは首都ダッカから340km離れた地域でインドに国境を接し、国境にブラマプトラ川という世界河川が流れています。大洪水が数年〜10年に1度起こりますが災害や起こると、こうした地域は首都から遠いため支援が届きづらくなります。

AFADとAMDAの合同活動は、2012年以降3度目です。2019年7月の洪水の際は私も現地に赴き一緒に活動しました。当時AFAD[pagebreak]代表サイーダさんと聞き取りをして回りました。その中で多く起こっていたのは貧困世帯、障がいを持った方、妊婦や乳幼児のいる世帯等の生活はもともと厳しいですが、この地域は特に男性が農業や日雇い労働で生計をたてていて、困窮がすすむと自宅を離れより賃金の高い都市部や首都へ出稼ぎに出ます。そしてなかなか自宅に戻らなくなり最終的には女性と子どもだけが残り仕送りが途切れ生活がさらに困窮していく…という事例でした。そうした要支援者を日頃から把握し、緊急支援の中からさらに新たなニーズをみつけ行動する機動性に富むAFADのようなNGOは自治体からも大変信頼されていて、今回の迅速なAFAD・AMDAバングラデシュ合同チームの支援、また被災地に心を寄せご支援下さった皆様に感謝申し上げます。

AFAD 代表 サイーダ・ヤスミン氏からのメッセージ

 

【AFADについて】

今回の物資支援への協力に厚く御礼を申し上げます。AFADは1998年設立、クリグラムを拠点とする女性(シングルマザー含む)・障がい者の自立・生活支援を実施している団体で、現在37人の職員と50人の災害支援ボランティアで構成されています。5つの地域、16の地区、1400世帯に支援を行っています。

AFAD代表サイーダ氏(右)

子どもへの聞き取り(2019年7月)

【寒波・新しい災害】

近年、クリグラムでは洪水に加えて、地球の気候変動による「寒波」という新しい種類の災害が加わっていることは間違いありません。ここのところ毎年のように寒波が発生していて、今年は特にひどく、約2か月の間続きました。住民の多くは農民ですが働くこともままならず、収入を得られない状況でした。道路の脇で火を起こして寒さをしのいでおり、昨年も共に活動してきたAMDAバングラデシュを通じてAMDAへ協力要請を行いました。

【物資支援】

合計500世帯に対して毛布を配布しました。1世帯あたり4〜5人の子どもを持つ家庭が普通なので全員分配れれば良かったですが、とにかく急いで配布したほうが良いと判断し世帯あたり1枚の毛布を提供しました。AMDAバングラデシュからも2名の調整員がクリグラムまで来て下さり、一緒に配布しました。住民は竹や木で作った簡素な家に暮らしています。暖房もありませんので、他に暖をとる方法がないため毛布は大変喜ばれ、高い需要を感じました。

この地域は2019年7月に洪水の被災を受けた地域であるため、4月から復興支援も計画していましたが、新型コロナウイルスの影響でロックダウンとなっておりすぐに動けない状況です。その要因には、当団体では医療団体ではないため、自分たちの身を守る医療衛生材料等を確保できないことも要因です。一刻も早く、包括的な生活支援のために動きだしたいと真剣に考えています。

配布した毛布

【これまでのAFADとの活動 】

2012年 バングラデシュ洪水被害に対する緊急救援
2019年 バングラデシュ北部洪水緊急救援