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AMDAが、ウクライナ支援開始当初から共に活動したメッドスポットは、現在も戦闘地域に近いウクライナ東部から比較的安全な西部に避難してきた方々に医療を提供しています。同団体の医療チームは、毎月1回ハンガリーの首都、ブタペストから2日がかりで、避難者が暮らすウクライナ西部の学校など4か所を巡回します。2日間で約100人から120人の患者を診察し、必要に応じて、薬も提供しています。AMDAからの支援は巡回診療に必要な薬の購入などに充てられています。
国連・国際移住機関(IOM)が2025年1月に発表した報告書によると、ウクライナ国内の避難者は約366万人に上り、内3分の2は2年以上の長期的な避難生活を強いられています。また、メドスポットがウクライナ西部にある4つのコミュニティセンターで独自に行ったアンケート調査により、避難者の多く(80%)は避難先のザカルパッチャ州に知り合いがいないことが判りました。その影響もあり、避難前には1日平均10人以上と接触していた人が半数いたものの、避難後、その割合は28%まで減少していました。孤独を感じる人の割合も20%に上ります。さらに、避難先での就職も厳しい状況です。中等専門教育以上を修めている避難者が多数を占めており、教育水準が高いにも関わらず、避難先で就職できたのはわずか21%。多くは自分のスキルに見合わない、清掃や単純労働に従事しています。人道危機勃発以前の失業率がわずか9%だった一方、避難後は21%が失業しており、避難者の約半数は、非常に少ない年金で生活せざる負えないことが判りました。さらに、アンケート回答者の約半数が55歳以上だったことも要因として考えられますが、良好な健康状態にある、と答えた人は20%にも満たない結果となりました。
メドスポットはこのような状況に置かれているウクライナ国内避難者に対して、巡回診療による診察とウクライナ人精神科医によるオンラインでの相談を受け付けるなど心理的サポートも継続しています。メドスポットの医師は、「日本の支援者の皆様に心から感謝申し上げます。診察において患者さんとの長期的な関係は非常に重要です。いただいた支援のおかげで、私たちは多くのウクライナ国内避難者に対して、定期的に医療支援を行うことができています。」と話しました。AMDAはメドスポットの活動を通じて、厳しい生活が続くウクライナ国内避難者への支援を継続していきます。
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