【ウクライナ人道支援活動:ウクライナ西部にある『セントミッシェル小児総合リハビリセンター』からの報告2024年10月~2025年1月】 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

【ウクライナ人道支援活動:ウクライナ西部にある『セントミッシェル小児総合リハビリセンター』からの報告2024年10月~2025年1月】

 AMDAはセントミッシェル小児総合リハビリセンターを通じて、支援活動を行っています。ウクライナ最西端ザカルパッチャ州ウジホロドにある、同リハビリセンターは2018年に開所し、現在225人の子どもたちが利用登録しています。ウクライナ人道危機以降、東部の戦闘地域から避難してきた子どもたちも受け入れており、1日に15から20人の子どもたちがリハビリに訪れます。人道危機により、比較的安全なザカルパッチャ州でも空襲警報がなることはありますが、今のところ、直接的な被害はありません。警報の音に敏感な子どもたちもいるため、リハビリを中断することなく活動を継続することで、パニックや精神的負担を引き起こさないよう努めています。また、リハビリセンターの3階には何百キロも離れた東部の戦地から避難してくる、リハビリが必要な子どもとその家族が短期滞在できるよう、キッチン、シャワー、寝室が備え付けられており、最大3家族まで受け入れることができます。同じ建物内にリハビリ施設があるため、身体障がいや病気の子どもを連れての移動を避けられ、子どもにとっても家族にとっても、大きな助けとなっています。子どもが言語療法を受けているお母さんは「このセンターを見つけられて、嬉しい。たくさんのリハビリプログラムを提供している素晴らしい施設だと思う。」と話しました。2024年9月に始まった音楽療法を受ける孫に付き添うおばあちゃんは「最初は音楽療法に対して懐疑的だった。しかし、孫が家で自分から歌を口ずさむようになって、成長が見られ、音楽療法の効果が分かった。」と話しました。AMDAは同センターに対して、高止まりが続いている光熱費の支払い、物資の買い出し・配達に掛かるガソリン代と、停電時に使用するジェネレーターの灯油代を支援しました。

 また、物価高騰の煽りを受けている方を中心に医療支援も行いました。寝たきりのお年寄りに対しては、大人用おむつを配布。限られた収入の中で高価な医薬品を購入できない心疾患の方、肝疾患の方、化学療法を受けている方、計3人に必要な薬を提供しました。多忙なセンターを支えるスタッフにも、ビタミン剤、風邪薬などの薬セットを配布し、健康に留意するよう促しました。


 並行して、避難してきた家族を受け入れているコミュニティーへの支援も行っています。年度末に給食費の予算が不足していた幼稚園から支援要請があり、2クラス38人の子どもたちに食事を提供しました。加えて、東部の戦闘地域からウジホロドに避難している100世帯、および経済的に厳しい状況が続いている年金受給者と深刻な病気を抱える方、計50人に対して食糧を配布。そのほか、経済的に厳しい生活を強いられている方に食事を提供する団体へ、ジャガイモ、玉ねぎ、パプリカ、調味料などの食材を購入しました。また、地域の教会でクリスマス会などのイベントが開催された際、フルーツ、クッキーなどの焼き菓子と飲み物を差し入れたほか、清潔な環境が保たれるよう、東部の戦地から避難してきた家族や、地域の人が集まる集会所へ清掃用品を寄付しました。

 12月の聖ニコラスの日のお祝いには、子どもたち50人に贈るギフトを準備。併せて、地域の子どもたちと住民が参加する工作などのイベントに対して文房具を支援し、イベントに欠かせない、地域を代表する女性コーラスグループのメンバーにTシャツ17着を寄付しました。

 避難先での暮らしが長くなり、先行き不透明な状況を憂慮している避難者や、避難者を受け入れているコミュニティーもあるかと思います。AMDAは人道危機が収まり、避難者の方が一刻も早く住みたい場所に住める状況になることを願いつつ、支援を継続してまいります。