北海道胆振東部地震緊急支援活動に参加して(医療調整員) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

北海道胆振東部地震緊急支援活動に参加して(医療調整員)

徳島大学大学院医歯薬学研究部総合診療医学分野
鈴記好博

2018年9月6日午前3時7分に北海道胆振東部は最大震度7の地震に襲われました。

発災当日、AMDA調査隊が出動したという連絡を受け、私もいつ派遣が決まってもいいような準備を始めていました。

そして発災10日後の9月16日から今回は医療調整員としての派遣が決まり、すでに先遣隊が活動していた厚真中央小学校避難所に向うこととなりました。

出発する前に、避難所内で医療関係の事案が絡む問題が起こっており、避難者の皆さん、そして避難所を管理運営しているスタッフの皆さんにも大きな負荷がかかっているという情報をもらっていました。その問題の収束が私の任務の重要案件であるという認識と、また私が派遣前に調べた情報から、断水が続く自主避難所の存在なども浮かんできており、その調査の必要性も感じながらの着任でありました。


幸い、避難所内の大きな問題事案も速やかに対応することでうまく物事が運んでくれて、本人そして周囲の方々の負担も大きく軽減することができたことをうれしく思います。

また、厚真中央小学校以外の調査に入った避難所やDMAT事務局からお声掛けいただいて調査入りした行政機関などでも追加支援の必要なところはなく、うまく自治会による避難所運営や現場の医療調整ができているようで安心できました。


たった7日間の派遣でありましたが、今回はこれからの初動時のNGOの動き方の課題も見えたケースでした。それに対しては、しっかりした対策を取る必要性を感じています。そして、避難所の皆さんと寝食を共にすることでしか得ることのできない繋がりと、そうやって繋がることができてこそ話してもらえるお話、夜もずっといるからこそできること、そういうことが、災害医療、避難所医療を行うにあたってとても大事な要素であるということを再確認できた活動でもありました。


今回、一緒に厚真中央小学校に入っていた北海道庁の職員や厚真町職員の方から、「AMDAがいなければ、この避難所はやっていけないところでした。本当にありがとうございました。」といううれしい言葉を頂きました。


ずっと避難所にいて毎日のように夜中も問題に対応している姿や、飲み物の補充から配膳の手伝いまでなんでもしている姿を見ていてくれていたのでしょう。


「先生お医者さんかい?わざわざ好き好んでこんなところに来て。先生みたいな人そんなにいないよ。」という最高の誉め言葉も避難者の方からいただくことができました。


「お医者さんもできますけども、何かお手伝いできることはありませんか?」これが私の被災現場で活動するとき、いつも大事にしているモットーです。


「代々受け継いできた神社を私のところで放ったらかしにすることはできません。しっかり立て直しますよ。すべて一からの出発になりますが、それもいいでしょう。やりますよ!」


厚真中央小学校避難所で避難されている由緒正しき厚真神社の神主である黒澤さんの力強い言葉がとても印象に残っています。


帰り際に、


「またここが落ち着いたころに、フラッとやって来ることにします」


と言った私に、


「その時は必ずこの神社に寄ってくださいよ!」
と言ってくださいました。
その時はお言葉に甘えて、神社境内に生えた大木にやって来るフクロウと力強く立ち返っていってるだろう神社と神主さんの姿を見に寄らせてもらうことにしよう。