2020年度年次報告 新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援:国内(2021/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2020年度年次報告 新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援:国内(2021/7発行)

  1. マスク・特定アルコールの提供
  2. 北海道旭川市内医療機関支援活動
  3. ゴミ袋の提供
  4. 中華人民共和国駐日本国大使館様よりマスクの提供

概 要

2019年12月に発生した新型コロナウイルスの感染は日に日に深刻な状況となり、2020年3月11日にはWHOが「パンデミック」と宣言する事態となった。2020年度も世界各国で感染が拡大、2021年3月末時点で127,907,855件の感染を確認、死者数は2,797,961人(WHO発表)を記録した。

AMDAは、海外への渡航が困難な状況下にあったが、国外にある各支部と適宜連絡を取り、各国の感染状況など情報交換を行った。複数の国では、政府や自治体によるロックダウン(都市封鎖)が実施され、日常生活に大きく支障が出ているとの報告もあった。AMDA各支部はローカルイニシアチブのもと、必要に応じて医療支援やオンラインを生かした活動など、多種多様な支援活動を実施した。

内、右記6か国での活動についてご報告する。
 

日本国内

状況

2020年3月ごろから日本ではマスク、アルコール消毒製品、その他個人防護具の不足が表面化し始め、4月に入り事態は深刻化した。災害支援などでご協力いただいている医療機関などから、「物資の入手が困難なため、患者や施設利用者に影響を及ぼさない範囲でやりくりしている。」、「マスクが通常の仕入れ値の10倍ほどになった時期もある。」など、現状について伺った。

その後も、感染者増加に伴い、国内の医療機関は逼迫。更に、医療機関や福祉施設などでクラスター(感染者集団)の発生も確認、外部からの医療者派遣なども求められる状況となった。
 

1)マスク・特定アルコールの提供

◇実施場所: 日本国内
◇実施時期: 2020年4月30日〜5月上旬
◇物資に関するご協力者様(五十音順、敬称略):
・アイ・エイチ・ディ協同組合
・岡山商工会議所
・株式会社山貴屋
・山研磨メッキ有限会社
・有限会社カナコーポレーション
・AMDAカンボジア支部、AMDAネパール支部
◇受益者: 42の医療機関・福祉施設など

◇受益者の声:
「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、今私たちは危機的な状況に陥っています。介護老人保健施設は、高齢のご利用者をはじめとする集団の場であるため、クラスターが発生しないよう日々感染対策の徹底を図っています。そのような折、マスクや手指消毒液などの医療材料が不足し、納品の見通しもつかず対応に苦慮している際に、AMDAより医療材料のご提供を受けることができました。この度のご支援に深く感謝するとともに、日頃からの関わりや互助・共助の大切さを改めて考えさせられました。今後も引き続き徹底した感染対策に取り組み、この状況を職員一丸となり乗り越えていく所存です。」

「ありがとうございました。本日、さっそく該当施設にアルコールを渡してきました。おもちゃなどの消毒にハイターを使わざるを得ない状況なので、大変ありがとうございます。」

◇事業内容:
各医療機関にて必要物資が手に入りにくい状況を受け、AMDAは災害支援の協力協定締結先、そして大規模災害時にご協力いただいた国内医療機関などに連絡。希望された計42カ所にマスク・特定アルコールの物資提供を行った。AMDA自身も物資が手に入りにくい状況ではあったが、入手に際し、様々な企業・団体にご協力いただいた。
 

2)北海道旭川市内医療機関支援活動

◇実施場所: 北海道旭川市内医療機関
◇実施時期: 2020年12月14日〜2021年1月4日
◇派遣者数: 4人(看護師含む)
◇事業内容:
AMDAは11月からの北海道旭川市の新型コロナウイルス感染拡大を受け、2015年台湾で起こった粉じん爆発災害支援において、AMDAと一緒に調査のため台湾に出向いた、氏家良人医師(市立函館病院局長)と、12月初旬から連絡を取り始めた。続いて、氏家医師の関係者を通じて北海道旭川市保健所と連絡。その後、同市保健所の要請を受け、2020年12月14日から2021年1月4日までの間に、看護師など合計4人を現地に派遣した。

同保健所及び保健医療調整本部の調整により、当時クラスターが発生していた北海道療育園の支援に入った。同施設は重度の肢体不自由と重度の知的障がいを併せ持つ重症心身障がい者の方々が利用しているため、転院が困難で施設内で療養する方針を決められていた。感染拡大により同施設で働く医療者が一時的に減少する中、AMDAは感染エリアにある感染ごみの処理や床の清掃などの環境整備や感染エリアの利用者さんが日常生活を送るうえで必要な食事などの介助を行う看護支援を行った。

尚、2月2日には北海道療育園におけるクラスターが終息した、と同施設よりご報告いただいた。
 

3)ゴミ袋の提供

◇実施場所: 日本国内
◇実施日: (第1回目)2020年12月22日、(第2回目)2021年3月1日
◇物資に関するご協力者(敬称略): 日本技研工業株式会社
◇受益者: 11の医療機関・福祉施設など

◇受益者の声:
「本日、チャック付きポリ袋の寄付をいただきました。当法人では、給食部門や薬剤部門などその他多くの場面で使用することができ大変助かります。この度は誠にありがとうございました。」

「たくさんの「ゴミ袋」をご寄付いただきありがとうございました。職員以下とても喜んでおり、早速、給食、検査、外来、病棟などが利用しており、病院の日常業務だけでなく、災害時にも十分活用させていただきます。本当にありがとうございました。」

◇事業内容:
日本技研工業株式会社様より、「医療従事者の方々を頼るだけでなく、自助共助の努力を行い一緒に困難を乗り越えたいと考え、感染リスクの高い使用済みマスクなどのゴミの処理にお役にたてればとポリ袋を寄付させていただきたい。」と、販売されている「様々な種類のゴミ袋」の支援のお話をいただいた。AMDAは、2020年11月末よりAMDA南海トラフ災害対応プラットフォームに参加されている医療機関を中心に声掛けを実施。結果、第1回目(12月)には684ケース、第2回目(3月)には1,349ケースを、お申し出いただいた計11団体に贈呈した。
 

4)中華人民共和国駐日本国大使館様よりマスクの提供

AMDA事務所での
マスク送付準備の様子

◇実施場所: 日本国内
◇実施日: 2021年2月4日
◇物資に関するご協力者(敬称略):
中華人民共和国駐日本国特命全権大使
さめじま病院(佐賀市)病院長代行 原野和芳
◇受益者: 10の医療機関・福祉施設など

◇事業内容:
2021年1月、中華人民共和国駐日本国大使館様よりマスクの譲渡について話を伺った、さめじま病院病院長代行 原野和芳様から、「各々の地域医療で新型コロナウイルス感染症の最前線にたつ医療者に、この善意のマスクを少しでも届けることが出来れば。」と、AMDAにマスク支援についてご相談があった。合計11,260枚を中華人民共和国駐日本国大使館様より贈呈いただき、2月、マスクを含む様々な物資を、希望する10の医療機関に寄贈した。