ネパール・AMDA内視鏡技術移転事業:オンラインによるミーティング
◇実施場所: オンライン◇実施日: 2021年2月14日
◇参加者:(AMDA本部)佐藤拓史/医師/AMDA理事、難波妙/AMDA理事、アルチャナ・シュレスタ・ジョシ/AMDA本部・ネパール担当
(AMDAネパール・ダマック病院)プラカッス病院長、ナビン元病院長、ディワス内視鏡医
◇事業内容:
AMDAは、2016年からダマック病院の内視鏡技術向上を目指して日本、ネパール両国での研修事業を実施。2016年には、岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業の一環として、ダマック病院の内視鏡医ディワス医師が、岡山済生会総合病院で3か月間、内視鏡の技術研修を受け、2018年、2019年には、佐藤拓史医師がAMDAダマック病院に出向き上部消化管内視鏡検査の技術的指導、病変の診断などについて指導を行った。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、計画を中止。未だ渡航の見込みがたたないため、2021年2月14日に関係者でオンラインミーティングを行った。
まず、ディワス医師より、ダマック病院の現状についての情報共有と問題点について報告。2020年の内視鏡施行数は355件。2021年に入ってこれまで上部消化管内視鏡検査を80件行い、胃炎、食道炎、胃潰瘍、食道静脈瘤、十二指腸潰瘍、癌などを診断。そのうち5件については、ディワス医師自身が食道静脈瘤破裂にともなう出血に対し結紮術を行ったこと、加えて十二指腸狭窄、胃がんについては、常時、佐藤医師のアドバイスをうけて診断にあたっていたことも報告。また、これまで発見した5件の胃がんは全て高齢者の進行癌。出血などの緊急時に対応できる医療器材、スタッフの技術などの環境が未だ整っていないこと、加えて地域の人たちの内視鏡に対しての知識や理解がまだまだ得られていないことなどの問題点も共有された。
佐藤医師は、出血時の止血術など多くの質問に答えたあと、内視鏡診断についての指導を行った。ディワス医師より佐藤医師に診断を求めて送られてくる画像について、撮影方向や接近度などの問題点を指摘し、より明確に撮影するための撮影方向と診断のポイントなどを細かく指導した。
また、2019年11月に台湾保健省よりAMDAダマック病院に大腸カメラが寄贈された。2020年2月に佐藤医師が現地にて初期研修から指導をする予定だったが、新型コロナウイルスの影響のため実施できなかったため、今後の方針について検討。一日も早く大腸カメラの検査を始めたいというネパール側に対し、佐藤医師は大腸カメラのリスクを十分に理解する必要性を強調した。
ネパール側からは、佐藤先生の実践的な技術研修が一日も早く実現し、ダマック住民のために多岐にわたる内視鏡技術の向上を願っているとの期待が寄せられた。佐藤医師は、地元の内視鏡医師が癌を早期に発見できるよう、内視鏡の安全性と技術向上のために一日も早くダマックでの研修を実現させたいと、今回のオンラインミーティングを締めくくった。