ボランティアセンター事務局長 竹谷 和子
AMDAには中学生、高校生が活動している「AMDA中学高校生会」というボランティアグループがあります。今年度最初の定例会を4月15日にAMDA事務所で行いました。現在22名のメンバーがいますが、この日16名の参加者を迎えとても活発なミーティングになりました。リーダーを中心に今年度の活動について「南海トラフの災害」を想定し若者が普段から取り組める防災、災害時への対応の取り組みについて、また「AMDAスリランカ平和構築プログラム」への参加を通し国際協力への取り組みの2点について確認しました。
この定例会でメンバー二人から最近海外で活動したことの報告がとても印象的でした。
カンボジアを訪問したメンバーは地雷のこと貧困の様子、孤児院訪問の様子、まとめとしてカンボジアの内戦等過去の歴史についての深い悲しみから未来に希望を持って生きようとしている人々の様子に感動したという報告がありました。
またフィリピンを訪問したメンバーは国際協力について知りたいという目的で訪問し、現地の貧困の問題について実際に現場を訪問したが子供たちは笑顔の中で生活の違いに一方的にかわいそうだと決めつけることはいけないと感じたと報告がありました。二人の報告後本当の豊かさとは何だろうと真剣に語り合っていました。
そしてこの日はAMDAスリランカ平和構築プログラムへの参加募集について竹谷から説明をしました。
このプログラムには広島大学大学院生の内田 涼さんがインターンとして研究目的のために参加されますが、今回の定例会に出席され感想やアドバイスをいただきました。
紹介します。
AMDA中学高校生会に参加しての感想
AMDA中学高校生会に参加している生徒たちは、将来リーダーとしての役割を担っていく子どもたちです。そこで、生徒たちの活動報告を聞いて2点大切にしてほしいと感じました。
第一に、「なぜ」という問いです。これは、国際協力活動において非常に重要な問いであり、どのような活動を行うかという根本的な問いにつながります。AMDA中学高校生会の子どもたちは既に海外にいった経験があり、なおかつ途上国の現状を見てきた人も中にはいます。そのなかで、生徒たちは国際協力の第一歩目を確実に踏み出しています。しかしながら、「途上国を見てきました」で落ち着いてしまっている現状にも目を向けてほしいと思います。重要なのは、自身が体験し自身の目で見た現実から何を考えるかということです。カンボジアとフィリピンでの活動報告をしてくれた生徒たちを例に振り返ってみると、「カンボジアでアンコールワットを見た」「子どもたちが日本の歌を歌えた」「フィリピンでNGOの仕事を観察した」「汚いゴミ置き場を目撃した」と述べていました。これは、非常に重要な国際協力の第一歩目です。しかしながら、続く第二歩目を踏み出してほしいです。それは、「なぜアンコールワットに現地の人が集まるか」「貧困でもなぜ笑顔があふれているのか」「汚いと分かっているのに、なぜ捨てるのか」という「なぜ」という問いに基づいた疑問です。このアドバスの後に、一人の生徒が「私がしないといけないことがわかりました」と言ってくれて、少しでもアイディアを提供できて非常に良かったです。
第二に、私たち(国際協力を提供する側)は「触媒者」―支援を提供し社会に何かしらの変化を発生・促進させる介入者―であるという意識をもつことです。私たちが国際協力活動をすることで社会に何かしらの変化を起こしています。例えば、AMDA平和構築プログラムの後で、参加した現地の子どもたちが第二言語を勉強したいと言い始めました。これは非常に興味深く、平和の構築に重要な変化を起こしたことになります。私たちは「触媒者」としてどのような変化を起こすのか、また一方で起こしてしまうのか考えなければなりません。「触媒者」としての責任も中学・高校生に伝えることができました。AMDA中学高校生会に参加することで、私自身も改めて考えさせられたし、初心を思い出すきっかけにもなったので生徒たちに感謝です。
AMDA中学高校生会への適切なアドバイスに感謝いたします。メンバー達は「誰かを笑顔にしたい」「自分は将来国内外の人達に本当に役立つ人になりたい」と語り合っています。
意欲に満ちている若者たちに今後も深く関わっていきたいと思います。