2017年度スリランカ医療和平プログラム AMDA中学高校生会活動報告 AMDAスリランカ紛争後復興支援平和構築プログラム – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2017年度スリランカ医療和平プログラム AMDA中学高校生会活動報告 AMDAスリランカ紛争後復興支援平和構築プログラム

最後のお別れ

AMDA中学高校生会は今年度も「AMDAスリランカ平和構築プログラム」に参加しました。

2003年にスリランカ3か所でAMDAが医療和平プロジェクトを実施している際、AMDA中学高校生会(当時はAMDA高校生会)は事業地域を訪問し巡回健康教育活動などの参加や文化交流をおこなったのが最初の活動です。そして2004年にはスリランカの高校生を日本に招き岡山で交流会を開催しました。

内戦終了後2011年からスリランカのシンハラ、タミル、イスラムタミルの生徒たちが参加しお互いを知り、理解する「AMDAスリランカ平和構築プログラム」がスタートしました。AMDA中学高校生会(以下中学高校生会)は2015年度から参加をしています。今年度はスリランカの中央部丘陵地帯に位置するマータレ―で開催されました。雨が降る回数は多いものの、一日降り続くことはなく3日間涼しく過ごすことができました。

参加の状況について日本からは中学高校生会メンバー4名(中学生1名、高校生3名)、他大学生1名大学院生1名、計6名、スリランカ各学校は、開催校であるマータレ―の学校から24名、キリノッチの学校から24名、トリンコマリーの学校は2校から22名、民族・宗教が異なる各地域から計76名(男子39名、女子37名)の学生達が参加しました。男女の比率もほぼ同数です。

参加した中学高校生会の4名は最初、不安と緊張でドキドキの様子でしたが最初の宗教プログラム(参加者全員が異なる宗教施設を訪問しそれぞれの宗教を知る)や移動のバスの中での歌や踊りですぐ打ち解け、笑顔があふれていました。

2日目のプログラムは朝6:00からのスタートでストレッチやランニング等運動、朝食後スポーツプログラムとしてバレーボールの練習、試合が行われました。事前にグループ分けされ、1チームにそれぞれ各学校の生徒や中学高校生会の生徒たちが混ざり混合チームが結成されました。スポーツプログラム後もこの混合チームで活動しました。

2日目の午後中学高校生会はプレゼンをパワーポイントを使用し英語で発表しました。発表するにあたり昨年度のスリランカ平和構築プログラム活動報告の内容を踏まえ、「スリランカの平和構築の中から学ぶこと、平和って何? 」をテーマにディスカッションを重ね準備を進めました。今年度のプレゼン内容は日本の紹介で広島原爆投下に触れ平和についてどのように考えるかを参加者全員に投げかけました。今後の活動で異なる宗教異なる民族の生徒たちをつなぐだけでなく平和について考えていくプログラムの一歩になればと考えています。シンハラ語、タミル語それぞれ通訳していただき、皆さん真剣に耳を傾けていただきました。

宗教プログラム

中高生会プレゼンの様子

そしてこの日の最後はキャンプファイアー。日本からは「うらじゃ踊り」を紹介し皆で盛り上がりました。ラスト、現地の音楽に合わせ夜遅くまで老若男女、民族・宗教を超え参加者が一体となったこのダンスは圧巻でした。

3日目は朝の運動、ゲーム後各グループごと、プログラムについて振り返り、絵を描くことでまとめました。

キャンプファイアー

3日間学んだ事を絵で表現

空手の紹介

最後閉会式とカルチャープログラムが行われ中学高校生会からは篠笛の演奏と空手の披露をしました。いよいよ別れの時が来ました。それぞれ生徒たちは仲良くなった友達と写真を撮り合ったり、ハグしたり名前を呼び合い、別れを惜しんでいました。早くに出発したトリンコマリー、キリノッチの学生たちのバスをいつまでも手を振り見送っていました。

このプログラムに参加したスリランカの先生達は「民族を超え、自分達と違う世界に出会うことができ、いい機会をいただきました」(キリノッチの先生)、「他の国、宗教が違う人々とコミュニケーションをとる能力、文化の交流、言語のスキルなどをのばすことができるすばらしいプログラムです」(トリンコマリーの先生)、「このプログラムは生徒も先生も様々な事を学ぶことができ、特に宗教、文化の違いを知ること、そのようなチャンスがあってよかったです」(マータレ―の先生) 等このプログラムについてお気持ちを伺いました。

中学高校生会の生徒たちはこのプログラムを振り返り、「現地での食事やトイレ、シャワー等生活の面では戸惑いがあったが、それよりも得るものが多く人の温かさをとても感じ、

交流が深まるにつれ、その気持ちがとても強くなり別れが辛かった」「英語が通じず、困った場面もあったが、現地の人達がジェスチャーなどで一生懸命伝えようとしてくれたことに感動した。伝えようとする力が大切だと思った」「民族、宗教が違っても平和を望む気持ちは同じだと感じた」「唯一の後悔、もっと勇気を出せばよかった。少し困ったことがあったと思うが、楽しかったので覚えていない」等の感想です。

2泊3日ほぼ寝食を共にし、現地の生活に馴染もうと頑張り、現地の学生達と共に活動し交流してきた彼らは、一段と成長し頼もしく思います。スリランカの平和構築をきっかけに世界の平和について今後とも関心を持ち続け尽力してくれることを願っています。