2017年1月20日、医療チームが高知県須崎市を訪れました。訪れたのは藤田病院(岡山市東区)の岡本康久院長、水元勇看護師の2名です。藤田病院の藤田理事長はAMDA代表菅波の岡山大学の先輩、岡本院長もアジア伝統医学研究会を通じての繋がりがあります。岡本院長は1995年に起こった阪神・淡路大震災の際、災害援助船として駆け付けた済生丸(岡山済生会病院所有の巡回診療船)に乗り救援の医療班の第1班のメンバーとして支援に入りました。更に、東日本大震災の緊急救援活動へも避難所での診療や巡回診療に携わりました。こうした災害時医療支援への事前準備の必要性を痛感していたところに「AMDA南海トラフ災害プラットフォーム」の話があり、手探りでもいいから具体的準備に参加していきたいという強い思いで、今回の事前交流にお越しいただきました。
高知県須崎市は高知県中西部地域(高幡地域)の中核都市です。特に須崎港は天然の良港である一方、リアス式海岸の形をしているため津波の被害を受けやすく、過去幾度となく大きな被害を受けました。海岸線が110kmと長く、ドラゴンカヌー等海洋スポーツが盛んです。
一行は須崎市職員の方にご同席頂き、まずアムダ医療チームの活動場所となる可能性のある指定避難所の多ノ郷小学校を訪れました。西村浩司校長より状況説明があり学校の標高は50m、校区北部にあり避難所としての指定のほか、既に給水の基地としても指定を受け給水訓練も実施されています。南海トラフ災害に関する取組みとして、避難訓練及び安全教育、防災についての学習を行っており、保育所、中学高校、JRの協力のもと1000名規模の避難訓練を実施したこと、これからも訓練を重ねていきたいとお話がありました。現在、南海トラフ災害時に行政の方が到着する前から住民主導で避難所などが開設・管理できることを目的に避難マニュアルを自治体だけでは無く地域の住民と共に作成中です。また特設公衆電話、太陽光発電及び蓄電池、上水の受水槽設置され、浄水器についても今後整備していくそうです。保健室や、医療チームの活動時に倉庫やインフルエンザ等感染症疑いの方を隔離するため部屋として使用可能な部屋を案内頂き、活動イメージを共有することができました。
その後、高知県の災害拠点病院に指定されている須崎くろしお病院を訪問しました。ここは南海トラフ地震が起きた場合の津波被害は10m、4階建ての病院の2~3階まで浸水する予想となっています。そのため四万十町のくぼかわ病院が新たに災害拠点病院として指定されたとのことです。職員の方より、「特に夜間は人手が本当に少なく、市外から通勤する職員が多い中、発災時に孤立するため医療チームが来てくれる、ことで希望を持って待つことができる。そのことが心強い」とお話がありました。
多ノ郷小学校にて校長先生と面会
須崎くろしお病院にてAMDA南海トラフ災害
対応プラットフォームについてご説明
須崎市役所にて
最後に、須崎市役所の楠瀬市長を訪問しました。「入院設備のある病院は市内に4つあるが、いずれも浸水区域。医療チームの支援は非常に心強い」との言葉がありました。
引き続きAMDAは、南海トラフ災害による被災が予測されている被災地パートナーと緊急支援にご協力くださる医療機関、スタッフとを事前に繋ぎ、実際に災害が発災した時により迅速な動きに繋がっていくよう準備を進めていきます。