AMDA緊急医療支援チームが熊本地震(震度7の前震)翌日の4月15日、被災地入りして約3週間を迎えた。同チームは広安小学校(熊本県益城町)保健室に開設していた救護所を5月6日、医師が常駐しない救護室として体育館に移転した。夜勤勤務をやめ、診察時間は午前9時から午後6時まで。被災者から人気の高いはり治療と看護師による巡回訪問がメーンとなる。
これらの措置は、地元の開業医が復旧したこと、緊急を要する重症患者の治療や病院搬送にめどが立ち、軽症患者のみとなったことや、学校の授業再開に向けた対応。一方、益城町陸上競技場にあるテント村救護室は鍼灸師と看護師で対応する従来通りの体制を継続する。日中のテント村は、自宅の片づけ等で不在の方が多く、夜間も対応できるように6日から開室時間を午前10時から午後8時までと夜間を3時間延長した。5月になり日中気温が上がりがちであり新たに風通しのよいタープテントが設置され熱中症の予防となっている。
日常生活に手助けを必要とする広安小の要介護者は5日から、熊本市内の特別養護老人ホーム「シルバーピアさくら樹」に移転を始めた。この施設は、AMDAが高齢者の入浴支援を共同で行っていたが、益城町の公式な福祉避難所として認められた。AMDAは岡山県老人保健施設協会との合同事業として介護福祉士2名をこの老人ホームに派遣して対応する。
汚れやすい避難所の仮設トイレ群は、AMDAチームが他のボランティアとともに感染症対策に力を入れ拭き掃除を頻繁に行った結果、感染症の発生を未然に防ぎ、「非常に清潔」「きれい」と避難者から喜ばれている。
AMDAはスポーツウエアを製造・販売する「DESCENTE(デサント)」(東京)から下肢サポーターの寄贈を受けた。エコノミー症候群対策として車中泊の住民らに配布し、利用者から「足のむくみが取れた」などの感謝の声が届けられた。
合同事業を実施している総社市役所からは、第1便が4月15日に出発して以降5月6日現在、派遣便数は10便、派遣人数(職種)は39人(一般職36人、保健師3人)となっている。
【第14次派遣】 5月7日出発
佐藤 拓史(さとう たくし)/医師/H2クリニック博多/AMDA南海トラフ地震対応プラットフォーム運営委員会委員
小倉 紀美子(おぐら きみこ)/看護師/京都府在住
高橋 茜(たかはし あかね)/看護師/岩手県在住
伊庭 利光(いば としみつ)/介護福祉士/ホウエツ病院所属/徳島県在住
中野 収蔵(なかの しゅうぞう)/介護福祉士/ホウエツ病院所属/徳島県在住
藤井 悠太(ふじい ゆうた)/介護福祉士/岡山県在住
高濱 俊仁(たかはま としひと)/介護福祉士/岡山県在住
岩井 伸幸(いわい のぶゆき)/理学療法士/香川県在住
藤田 洋輔(ふじた ようすけ)/鍼灸師/東京都在住
松峰 理真(まつみね りしん)/鍼灸師/東京都在住
【第15次派遣】 5月8日出発
神徳 備子(こうとく よりこ)/看護師/ 長崎県在住
■5月6日までの派遣者数 延べ55人
医師11人、看護師19人、薬剤師3人、介護福祉士8人、理学療法士3人、調整員12人、鍼灸師11人
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