プログラムの立ち上げまで
2013年9月に、AMDAがパキスタンにおけるポリオ撲滅活動の事前調査を行い、2014年1月には、AMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、NRSPによる第2回目の事前調査が行われました。その事前調査の結果、家族の健康管理において中心的役割を担っている女性に対して、ポリオに関する教育を含む健康教育の必要性があることが判明しました。日本の学校で行われているような健康教育を受ける機会がないパキスタンの僻地に住む未婚女性を対象とした「パキスタン家庭教育プログラム」は、AMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、現地NGOであるNRSP(National Rural Support Programme)の3者合同で実施されています。
2014年6月にパキスタン家庭教育プログラムが始まってから1年が経過しました。
開始から現状調査
2014年6月に茅ヶ崎で行われた「パキスタン家庭教育プログラム」調印式後から、2015年2月までは、実際に未婚女性に研修を行う前の準備期間でした。具体的には、プログラムを実施する地域でどの健康分野のどの知識が不足しているかを調べるため、現地NGOのNRSPが中心となって現状調査を行いました。調査結果を基に、講師用と受講者用の教材を開発し、講師の選考や受講者である未婚女性の登録も同時に開始しました。
現在の状況
準備を行っていく中で、いくつかの問題点があがってきました。
例えば、プログラム対象地域に住む未婚女性が目標数に達しない可能性が出てきました。これに対しては、初年度の結果を基に、対象地域を現在の対象地域に隣接する地域にも広げていくことにしています。
また、講師養成講座から時間が経過するにつれて、パキスタン家庭教育プログラム認定講師となった人たちの学んだ知識が低下していくのではないかと危惧されました。対処法としては、当初1か月2グループ40人の未婚女性に対して4名の講師が研修を行う予定でしたが、最初の3ヶ月は1ヶ月3グループ60人の未婚女性に対して6名の講師が研修を行っています。全ての認定講師が養成講座から4ヶ月以内に実際、研修を行うことで知識の低下を防ぐことができます。
さらに、研修を受けた未婚女性に対する経過観察の必要性があることがみえてきました。研修を受けた未婚女性が得た知識をどのように日常生活で活用しているか、または、活用していないかを評価する質問表を3者合同で作成し、現地NGONRSPが中心となって実際の評価を3か月ごとに行っていく予定にしています。
2015年3月から実際に始まった未婚女性に対する健康教育の研修は、2015年5月時点で、124人の未婚女性からなる6つのグループに対して行われ、104人が研修後に行われるテストに合格しました。今後も、未婚女性に対する研修を継続し、合計1440人の未婚女性が研修を受ける予定です。