インド担当:岩尾 智子
新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し始めてから1年が経過し、インドでの感染者数は1,100万人を超えています(3月2日時点)。一方、インドの人々の生活は元に戻りつつあり、AMDAピースクリニックが活動する、ビハール州ブッダガヤにもインド国内からの旅行者が訪れ始めました。しかし、海外からの旅行者も訪れていた、以前のようなブッダガヤの賑わいには程遠いと、現地スタッフは話します。
インドで感染が拡大し始めた当時、ブッダガヤの中心部に住んでいた人たちは、実家がある田舎に引っ越して行きました。農作業をすることで食糧を得られるからです。中心部に残ったのは、他に行き場がない人たちです。それから間もなく、インド全土で都市封鎖が行われました。当時に比べると、現在は人も動き始め、経済活動は改善傾向にありますが、ブッダガヤの中心部に住むAMDAピースクリニック登録妊産婦の中には依然、厳しい生活を強いられている方がいます。
このような状況から、AMDAピースクリニック(APC)は2月23日に登録妊産婦40世帯と元APCスタッフが運営する「お年寄りの家」を対象とした食糧支援を行いました。豆1.5kg、ジャガイモ1kg、塩500g、調理油500mlに加えて、政府からの配給を受け取っていない世帯には米5kgも一緒に配布しました。
食糧を受け取った妊婦は、「コロナ禍で夫がお寺での仕事を失い、いつ次の仕事が見つかるかわかりません。この1週間はオートリキシャー(3輪自動車)を借りることができたので、オートリキシャーのタクシー運転手として生活費を稼いでいます。この感染症拡大で私たちの生活は大きく変わりました。どうやって生き抜くかを考える毎日です。NGOから提供される食糧は本当に貴重です。AMDAピースクリニックからいただいた食糧は1週間持ちます。大切に食べます。ありがとうございました。」と話しました。