ベレグスラーニー (Beregsurany)にて
ウクライナからベレグスラーニーのヘルプセンターに到着する避難者は一日あたり200~500人。仮設診療所を訪れる人数も以前に比べ減少傾向にあるが、AMDA・TICO合同医療チームの看護師はオランダ人医師たちや地元ボランティアの方々と避難者を支えている。
3月からヘルプセンターでお世話をしてきた精神疾患をお持ちの母子二人を、5月14日、専門の医療施設に紹介した。母親は症状が軽く、ボランティアの仕事も手伝っていたが、専門的なケアを受けた方が良いとの判断で、今回の決定となった。また5月17日、看護師は医師たちとウクライナから避難された癌患者の対応にあたった。国内の病院で検査入院し、緊急手術が必要との判断だったが、戦時下で手術に必要な物資がなく、ハンガリーで手術を受けるために国境を越え一時的にヘルプセンターに来た。到着後すぐに医師とバイタル等基本的なチェックを実施。目眩と、食事後もすぐに嘔吐するとのこと。仮設診療所では治療できないため、持参されていた検査資料などをまとめて救急車に引き継ぎし、男性とその家族は救急車でベレグスラーニー近くの都市の病院に搬送された。
合同医療チームの看護師は避難者一人一人の言動を観察し、必要だと思う対応を行っている。17日に避難してきた10歳くらいの女の子は環境変化への対応が難しく、ヘルプセンターに到着後は泣き続けた。母親より「医師や看護師に恐怖心がある」と伺い、看護師はAMDAのビブスを着用せずに対応。泣いたり叫んだりした女の子も、ボール遊びやお絵描きなどを一緒に行うことで、次第に落ち着きを取り戻した。母親によると、ウクライナ危機後は、更に落ち着きがなくなり、症状が悪化しているとのこと。一緒に避難しているご家族も女の子のケアで疲労困憊、また4歳くらいの弟さんが一人で遊んでいる姿を目にした看護師は、女の子だけでなく家族に対するケアが必要だと感じ、女の子と弟さんたちと外で一緒に遊んだ。子どもたちは少しずつ心を開き、最後には「スパシーバ」と、グミを看護師の口の中に入れてくれた。「弟さんに対しても目を向けることができ、更にご家族にとって少し休める時間ができたと思う。」と看護師は話した。さらに、18日に避難してきたウクライナに留学をしている外国人は、歩行時に両足を庇うような歩き方で、加えて鼠径部に痛みがあるとのことで、医師と看護師で診療した。爆撃開始後2ヶ月間、地下のシェルターに避難している間に、同じ姿勢でい続けたことで痛みが出始めたいう話を聞いたのち、バイタル測定や血液検査を行ったが、深刻な疾患は認められなかった。ただ、話し方や態度などに違和感を感じた看護師は「話せる気分になったら話してください。」と告げたところ、しばらくしてその方は自身のトラウマや精神的な問題を打ち明けてくれたという。
ウクライナ国内への物資支援
ウクライナではほとんど品切れ状態で手に入りにくく、特に高齢者や幼い子どもを持つ人は買い出しに行けない、そして職場が爆撃で失われ働けない人も多く、物資を購入できないなどの状態が続いている。この度、カルパッチヤハウス(Kalpatalja Haz)のパートナー団体であるヴァルダ伝統文化協会(Várda Hagyományőrző, Kulturális Egyesület)を通し、ウクライナ国内の関係者に小麦粉や油、パスタ、缶詰などを寄贈しました。後日、寄贈した食糧などは無事、支援を必要とする家庭に届けられた。
*上記時間は、ハンガリーの時間(日本より7時間遅れ)。
【5月20日時点 派遣者情報】 *敬称略 派遣順
派遣者:
榎田 倫道(えのきだ ともみち)看護師(日本・オランダ資格)/ Nieuw Unicum(オランダ・福祉施設)/オランダ在住/ 41歳
現地協力者:
志井田 海(しいだ かい)/現地協力者: 志井田 海(しいだ かい)/ ハンガリー国立センメルワイス大学医学部/ハンガリー在住/25歳
光井 一輝(みつい かずき)/ ハンガリー国立センメルワイス大学医学部/ハンガリー在住/26歳
大堀 裕太郎(おおほり ゆうたろう)/ ハンガリー国立センメルワイス大学医学部/ハンガリー在住/28歳
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■中国銀行 一宮支店(店番188) 普通口座 番号1347410 口座名「特定非営利活動法人アムダ」
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■楽天銀行 ロック支店(店番202) 口座番号7002547 口座名「特定非営利活動法人アムダ」
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