再びロヒンギャ難民支援医療活動の開始 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

再びロヒンギャ難民支援医療活動の開始


2017年10月。AMDAバングラデッシュ支部長ナイーム医師より電話が入った。「ロヒンギャ難民が60万人以上バングラデッシュに来ており、医療的にも悲惨な状況にある。ほっとけない。AMDAバングラデッシュ支部として医療支援活動を行いたい。AMDAインターナショナルとして応援してほしい」と。

ラザック事務局長の現地調査による計画書にもとづいてコックスバザール、ウキヤ地域を中心とした難民の84万人を対象に診療所開設と巡回診療の開始を決定。1年間の活動予定。

具体的には、10月1日からAMDAバングラデッシュ支部が医療チームの派遣を開始。日本から11月に看護師1名を調査派遣。12月から医師1名を正式に派遣している。AMDAバングラデッシュ支部は日本―バングラデッシュ友好病院(ナイーム医師が理事長)と連携して首都のダッカに対策本部、コックスバザールに事務所兼宿舎を設置して診療活動を支援している。

2018年1月26日から2日間。第2回AMDAアジア地区支部長会議をマレーシア連邦の首都クアランプールで開催予定である。GPSP和平構築分野のプログラムとして、ロヒンギャ難民支援医療活動を正式に合意し、「アジア相互扶助緊急医療ネットワーク」の加盟団体などにも参加要請をしたい。

日本、バングラデッシュをはじめとしてインドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、シンガポール、ネパール、スリランカ、インド、モンゴル、台湾、韓国、カナダなどからの医療スタッフの参加により「GPSP多国籍医師団」として活動ができれば最上の喜びである。ちなみに、マレーシア支部長のアンソニ医師はマレーシアにたどり着いたロヒンギャ難民にすでに実母の家を提供するなどの活動を開始している。なお、会議ではGPSPのプログラム・プロジェクト、世界災害医療プラットフォーム、AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム、国際医療貢献プラットフォーム、TAPPなどの進捗状況も併せて討議する予定である。

1992年にロヒンギャ難民支援医療活動のために日本からの医療チームの派遣をコックスバザールにあった国連難民高等弁務官事務所に申し込んだが「日本からの医療チームは要らない」と断られた。しかし、国境なき医師団がダッカ空港に1週間以上足止めされている新聞記事に矛盾を感じて、東京大学医学部大学院に留学中のナイーム医師を団長とする医療チームを派遣するとバングラデッシュのメディアが大歓迎。更に、バングラデッシュ政府の破格の対応で医療チームは難民キャンプで活動ができた。これを契機としてバングラデッシュ支部が設立。今回はそのバングラデッシュ支部のイニシアチブのもとに活動することになった。不思議なめぐりあわせを感じるとともに、AMDAバングラデッシュ支部の成長を心から喜びたい。

AMDAの難民支援医療活動は1991年のロヒンギャ、ブータン、ソマリア、アンゴラ、モザンビーク、アフガニスタン、コソボ、カンボジア、ルワンダの難民、そして、東チモール、スリランカの国内避難民、等々。そして再びロヒンギャ難民にと続いている。不思議なご縁である。

「難民とはパスポートのない人」である。国家があればこそ国民がある。国家を大前提として、国家を超えて国家の保護のない難民を支援する医療を行っているのがGPSP多国籍医師団である。GPSP多国籍医師団の活動に皆様方のご理解とご支援をいただければ望外の喜びである。
(GPSP:世界平和パートナーシップ)