フィリピン台風30号復興支援会議と市民参加型人道支援外交 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

フィリピン台風30号復興支援会議と市民参加型人道支援外交

今年3月9日。フィリピンのケソン市のホテルで台風30号復興支援国際会議が開催された。
午前中はレイテ医師会長、東サマール島ギポーロス市長のプレゼンテーション、タクロバン市役所からのメッセージの紹介。続いて、被災者支援を行った保健省国際協力局、フィリピン軍予備役将軍、海軍予備役司令官、イロイロ市ライオンズクラブ、PRRM(フィリピン農村再建運動)の各プレゼンテーション。フィリピン医師会からのメッセージの紹介。午後からは海外支援団体からのプレゼンテーション。マレーシアのマーシ、台湾ルーツ、AMDAインドネシア支部、AMDA本部。日本医師会と福山市医師会そして韓国のメディピースからのメッセージの紹介。続いて台風30号復興支援と今後の自然災害対策に関するワークショップが6班に分かれて行われた。

最後にマニラ宣言が採択された。
「復興支援継続と新たな災害への協力体制構築」が内容である。

2014年4月26日。
まなびの館ローズコム(福山市)で台風30号復興支援会議が福山市医師会とAMDAとの共催で開催された。

森近茂福山市医師会長の開会の挨拶。
マリア・タギアンフィリピン総領事、小林史明衆議院議員、羽田皓福山市長(代読)、大田祐介市会議員の挨拶。
続いて岸田文雄外務大臣と横倉義武日本医師会長、湯英彦広島県知事のメッセージの紹介。
引き続き、レイテ医師会タグラ会長、大田記念病院から派遣された石根周治医師と村上悠也看護師、タクロバン福山交流支援センター三谷干城代表、広島県立福山誠之館高校生から街道報告がされた。

最後に私から2つの提案をした。
一つは崩壊したレイテ医師会館を災害医療拠点として再建。
資金は日本医師会、福山市医師会そしてAMDAが提供する。
加えて、巡回診療の継続。

二つは11月8日(フィリピン台風30号上陸日)に太平洋戦争における戦死者と戦争に巻き込まれて亡くなった地元の人々、そして近年の災害による死者などを含めたレイテ島におけるすべての死者に対する合同慰霊。
即ち、世界平和祈念である。

ちなみに、AMDAは2006年2月の南レイテ島の大規模地滑りでほぼ千人の村人が埋もれて死んだ被災者救援に多国籍医療チームを派遣。1年後に被災地で多宗教の宗教者ボランティアによる宗派を超えた慰霊を実施している。

広島県教育委員会からの呼びかけに応じた県立学校の生徒が、AMDA高校生グローバル人財育成プログラムへ参加したことに対して敬意を表したい。
福山誠之館高校生2人が台風被災地タクロバン市を訪問。
広島県下の33の高校生が集めた募金でフィリピンの被災した高校生に文房具などを贈呈し交流した。
11年4月にも広島県の誠之館高校と黒瀬高校から各2人が東日本被災地の大槌高校を訪れている。

「あなたを見放さない」。
人間として最も大切なメッセージである。
世界に普遍性のある人格形成教育である。

自治体(姉妹縁組)外交にも新機軸を創出した。
タクロバン市に福山市が贈呈した義捐金に加え、日本医師会の協力のもとに福山市医師会が海外に医療チームを派遣したことである。
これは日本医師会史上初めてである。

更に県内の高校生の代表として福山誠之館高校の生徒が海外被災地に派遣されたことである。
「ヒロシマ」の名前は海外で著明である。
その「ヒロシマ」から支援の手が差し伸べられることに世界の被災者は特別な気持ちをいだく。

10年のハイチ大地震の時にAMDAが主催した交流事業の際に湯崎知事が寄せた復興を祈るメッセージは非常に喜ばれた。
合同慰霊の実施は更にその気持ちを深化させる。
「国際社会は宗教なしでは理解できない」からである。

「ヒロシマ」からの平和外交。
市民参加型人道支援外交の先駆けとなれば望外の喜びである。