令和2年7月豪雨(熊本県球磨地方) 被災者緊急支援活動(2020/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

令和2年7月豪雨(熊本県球磨地方) 被災者緊急支援活動(2020/10発行ジャーナル秋号)

現地支援活動参加看護師(AMDA職員) 高 和子


7月4日早朝、熊本県・鹿児島県に大雨特別警報が発令。熊本県を流れる球磨川は13か所で氾濫・決壊しました。

AMDAは、熊本市から連携支援要請を受けた岡山県総社市から医療チームの派遣要請を受け、災害発生2日後の7月6日に医師1名、看護師2名、調整員1名が熊本県に入りました。

6日人吉市入りしたAMDAは、人吉保健所及び人吉医療センターでの各医療調整会議に出席。球磨村の避難所さくらドームにて活動を開始し、夜間帯は当直業務を行ないました。

8日さくらドームから移設された避難所、人吉市立第一中学に活動の拠点を移しました。この避難所には約100名の方が避難されており、協力団体は入っていましたが、日中の球磨村職員の方は4名。要援護者への配慮、感染対策に努められている避難所の様子から、職員の方々はご自身も被災しながら、村民の方々の命を最優先に動かれていることは想像に難くなく、疲弊の色が表れていました。私たちの活動は、職員の方々の負担を軽減すべく環境を整えることから始まったように思います。

この日の時点で食料、飲料水支援が不安定であったため、AMDAは経口補水液を避難者全員に行き渡るように提供。また、マスク、手袋、医療ガウン、フェイスシールド等の医療資材も提供することができました。

AMDAの医師は、避難者の診療、夜間はオンコールで不眠、腹痛、外傷等に対応しました。避難する際に生じた靴擦れの傷が化膿していた方には応急処置を行ったうえで医療機関への受診を促した結果、病院で破傷風予防の薬剤が投与される事例もありました。

11日からは、避難後のストレスや疲れを緩和できるように、避難所内に「AMDAケアルーム」を設置し、柔道整復師、鍼灸師による施術を開始しました。被災後の片付けで腕や膝を痛めた方にはテーピングを施行し、長期に作業が続く今後を見据えてセルフケアの仕方を指導し大変喜ばれました。19日、近隣で受診可能な鍼灸院、整骨院リストをもとに、避難所の方々にご案内し活動を終えました。尚、今回のコロナ禍での活動においては複数の専門家の助言の下、手指消毒、マスク装着だけではなく、動線、使い捨てシーツ使用など感染対策に努めました。(柔道整復師による施術利用者のべ64名、鍼灸の利用者のべ21名)

ケアルーム活動と並行し、人吉保健所長より支援の要請を受けAMDAは12日より相良村でも活動を開始。相良村教育長でもあり医師の緒方俊一郎先生のご指導ご鞭撻のもと、同村保健師とともに被災した200世帯の被災状況、健康状態を確認するため戸別訪問をしました。連日の猛暑のもと屋外での作業が続くことを懸念し、相良村役場に経口補水液の提供を行いました。22日に被災した200世帯すべての訪問を完了。最後まで不在だった世帯やフォローが必要な世帯などについては保健師に報告し、AMDAは7月22日に現地でのすべての活動を終了しました。(AMDA現地災害支援活動に医師2名、保健師1名、看護師2名、鍼灸師3名、柔道整復師1名、調整員2名が参加)

また、現地活動を終えた8月、人吉市内の小規模多機能型居宅介護事業所「菜の花」が被災しながら8月中旬再開の準備をすすめていると聞き、現地では入手困難な滅菌ガーゼや包帯等の物資をお送りしました。

AMDAは今後も人吉市・球磨村・相良村の状況を注視していきたいと思います。