「経験から開かれる相互扶助ネットワーク」(2020/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

「経験から開かれる相互扶助ネットワーク」(2020/10発行ジャーナル秋号)

GPSP支援局 総務担当 ブルックス 雅美

2018年7月に発生した西日本豪雨では、岡山県倉敷市真備町でも甚大な被害を受けました。当時のご経験をAMDAとの支援活動に活かされているお二人をご紹介いたします。

小規模多機能ホームぶどうの家 代表 津田 由起子 様


真備町内にあった「ぶどうの家真備」も浸水被害を受け、利用者は真備公民館薗分館に避難されました。当時AMDAは、津田様と相談の上、同年8月末まで看護師などを派遣し、避難者の健康支援を行いました。

事業再開後、2019年3月から、「ぶどうの家」の活動を通じて集った方々が縫物ボランティア「縫い真備」として緊急支援で派遣者が着用するユニフォームのゼッケンなどを縫っていただき、既に延べ50人以上の派遣者がこのユニフォームを着用し、国内外での支援活動にあたりました。

さらに、今年7月の熊本豪雨災害の際には、人吉市内で被災した「小規模多機能型居宅介護事業所菜の花」に津田様が事業再開に向け情報を提供。その後、AMDAからも直ちに送られた支援物資は、当事業所を通じて被災された方々にお届けすることができました。

AMDA緊急救援ネットワーク登録 看護師 長谷 貴子 様


長谷看護師は西日本豪雨の時には、個人的に被災された方への物資提供を行い、翌年2019年からは、九州北部豪雨など、AMDAの災害支援に看護師として何度も参加されました。そして、新型コロナウイルスの感染が拡大し、マスクなどが品薄状態だった今年春、長谷看護師からのご相談を受け、AMDAと一緒に「マスク支援」が実現しました。この支援は、ご自身が西日本豪雨で経験した「必要なとされるものを必要なタイミングでお渡しすること」を念頭に、房総半島台風(台風15号)の支援活動での聞き取り調査の経験を活かし、マスクを必要とする複数の施設に入手出来ているかの声かけをしていただきました。結果として、個人経営の施設など入手困難なところにまで支援が行き渡り、非常に喜ばれました。


このお二人のように「支援された側」「支援する側」としての過去のご経験を元にAMDAと一緒に被災者を支援する。このようして開かれていく相互扶助ネットワークを目の当たりにすると、「人を支えるのは人である」ことを改めて実感します。これからも「人とのつながり」を大切に、活動を行っていきたいと思います。