インド ケララ州緊急救援活動(2018/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インド ケララ州緊急救援活動(2018/10発行ジャーナル秋号)

インド担当 岩尾 智子

 


支援物資を配布するAMDA調整員

8月初旬より2週間降り続いた南西モンスーンによる豪雨で、インド連邦南部ケララ州と近隣州に100年に一度と形容される大洪水と地すべりが発生。特にケララ州では州内にある全14県が被災しました。国連人道支援問題調整所(UNOCHA)によると、ケララ州における洪水による死者は503人、行方不明者15人、負傷者140人、全壊家屋は1,952軒、一部損壊家屋21,964軒、被災人口は540万人以上にのぼりました。

AMDAは8月25日から9月8日まで、インド、ネパール、日本のメンバー計11人からなる多国籍医療医師団を結成し、現地協力団体とともにケララ州アルプザ県とカルナタカ州コダグ県で医療支援と物資支援を行いました。医療支援では現地団体セワバルティ、コダグ県と協力し計566人の患者を診察。風邪の症状、皮膚の搔痒感、家の片付けによると思われる腰痛が主な症状で,加えてレプトスピラ症の発生が報告されていたため、予防をする目的で抗生剤も処方されていました。物資支援では、現地団体チェンガヌールロータリークラブと協力し事前調査を行い、そのニーズにもとづき調理器具の支援を4村198世帯に配布。加えてアンディカル地区政府高等学校に通う被災した生徒50人に対して学校カバンとノート5冊を配布しました。

被災者の多くは家が1階や2階まで浸水し、地元警察や漁師を中心としたチームに救助され、近くの学校、宗教施設、公会堂などに避難しました。救助活動に参加した漁師は「スマトラの津波に遭ったころは、自分がまだ小学生だったから何もできなかった。ただ、支援を受けたことは理解していた。自分の村でも津波で10人が亡くなるという、悲しい思いをしたが、色んな方の支援で復興してきた。今回、自分たちに何かできるとわかった時、是非人々を助けたいと思った」と語りました。