熊本地震から約1年半―。「行政職員の心のケア」が叫ばれる中、震度7の地震を2度も観測した熊本県益城町では、自治体と協力して職員を対象にした鍼灸治療に取り組んでいます。「被災者であり、職員でもあるという立場の中で、時間の経過とともに心身は限界に追い込まれつつある」と診察した地元の鍼灸師は警鐘を鳴らしています。
益城町とAMDAは、肩こりや頭痛など慢性的な不調を訴える職員が増えつつあることから、「職員へのサポートは震災復興に向けての一つの要」として鍼灸治療を実施しています。
治療はAMDA災害鍼灸熊本チーム(4人)が対応。非常勤を含め約500人の役場職員から診察希望を募り7月20日から開始し、今年度は毎月第1、第3木曜日の午後に実施。益城町役場で行われているメンタルケア専門家チームの会合にも参加し、治療結果を共有し、包括的な健康支援を目指しています。
治療を受けた職員からは「気持ちよく、体調もすこぶる良くなった」「肩がすっきりし、気分がゆったりした」と好評で、同町では2回目の施術を希望する職員も多いとしています。
チームリーダーの吉井治さん(48歳)は「職員はストレスを内に秘めて頑張る傾向にあり、異常なほどの疲れ具合にあらためて衝撃を受けた。私たちも気持ちを引き締めて活動に当たりたい」と話しておられました。
【AMDA災害鍼灸】
東日本大震災(2011年3月)で初めて採り入れ、被災者に好評だったことから広島市の土砂災害(14年8月)でも実施。効果が確認できたため、AMDAは同年から年1回、災害鍼灸育成プログラムを始めています。