東日本大震災復興支援(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

東日本大震災復興支援(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

東日本大震災復興支援

2011年3月11日に発生した東日本大震災から2度目の正月を迎えました。AMDAは復興に向かって一歩一歩すすんでいく被災他の方々をこれからも支援していきます。

AMDA東日本国際奨学金

将来医療従事者を目指す被災地の学生を対象としたAMDA東日本国際奨学金プログラムは、たくさんの方のご協力とご支援をいただき、本年度も新たに支給対象者を追加募集することができました。平成24年度の奨学生の選定が終了し、本年度は101名の奨学生に支給を行っています。希望する職種は様々で、医師、看護師のほか薬剤師、理学療法士、介護士などの夢に向かって学業に励む学生を応援しています。2年度合わせて、のべ185名に奨学金を支給しました。

 

鍼灸治療プログラム

現在、岩手県大槌町と宮城県石巻市雄勝町でそれぞれ地元のスタッフを雇用して鍼灸治療プログラムを実施しています。大槌町では、AMDA大槌健康サポートセンター内の治療院を拠点とし。ときに訪問治療なども取り入れながら、毎月100人以上の患者の治療にあたっています。また雄勝町では、地域の共同スペースを借りて、これまで週1回、鍼灸師が巡回訪問して鍼灸治療を行っていました。しかしながら、治療希望者が多く、予約がとりにくい現状を受けて、雄勝町では2012年1月より、週2回のペースで鍼灸治療を行うことを決定しました。心身の健康に効果がある鍼灸治療で、ますます被災地の方が健康になるよう期待しています。

 

夏休み高校生交流事業


出来上がった「般若心経マンダラ」の前で、
大槌の高校生たちと一緒に阿形氏(写真中央後方)

東日本大震災高校生夏休み招へいプログラムを、華蔵寺(高野山真言宗、岡山県久米郡美咲町)・AMDA 合同で実施しました。2012年7月25日から29日までの日程で岡山市内および美咲町・華蔵寺を会場に、報告会や交流事業などを行いました。美咲町でのプログラムでは、華蔵寺の阿形ご住職が発起人となって「般若心経マンダラ」と題し、たくさんの方に一字一字文字を書いていただき、その様々な文字をつないで「般若心経」を作り上げ、参加した方々に配られました。阿形氏よりメッセージが届きましたのでご紹介します。

 

岡山県美咲町華蔵寺住職 阿形 国明

『自分が今、何をするのか…何を言うのか…何を思うのか…』被災地の方々に限らず、それぞれがそれぞれの立場で、これからどのような歩みを進めていくのか…、地球規模で問われています。

東北三県を中心に、阪神淡路はもちろん全国各地270名余りの老若男女が、一文字ずつ謹書した【般若心経マンダラ】。時空を越えた祈りが一つに繋がっていく瞬間。ご両親を震災で亡くされた方から「やっと供養が出来ました」とのお言葉をいただきました。一日寺子屋修行に参加した被災地の高校生や地元の子供たちの、普段と何も変わらない『素直な心』に癒され、深く考えさせられました。

【心の充電】…神仏の空間で心静かに時を過ごす…。姿勢を正して自分自身を見つめる…。すべてに宿る仏さまのいのちが動き始めます。そんな今も普も変わらないはずのお寺の時空を、大切にお護りさせていただきたいと願っております。心より感謝しております。

 

被災地間交流・同世代交流事業

11月3日に開催した、東日本復興支援事業第2回スポーツ親善交流プログラムについて、参加した学校の先生方からメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。

 

南三陸町立志津川中学校 サッカー部顧問 高橋健太郎


各校混合で行われたリレー式のサッカーゲーム

震災から1年半あまりが経過し、商店や事業所が再開しはじめるなど、南三陸の地にも少しずつではありますが復興の足音が聞こえてきています。志津川中学校の生徒たちは、校庭に仮設住宅が建ち並ぶ中でも、以前と変わらぬ明るさで毎日の学校生活を送っています。サッカー部の生徒たちも、多くの支援に支えられて日々の練習に励む毎日です。

今回のスポーツ交流プログラムでは、昨年岡山で一緒にサッカーをした、岩手の大槌中学校の生徒たちと再び出会えたことが、私たちにとって一番の喜びでした。昨年岡山に行った生徒たちに、彼らに話しかけてくるように私が促すと、「久しぶりだから何か恥ずかしい」と話しには行きませんでした。しかし、休憩時間や試合前、志津川中の生徒と大槌中の生徒が目を合わせ、さりげなく手を振り合っていた姿を見て、言葉を交わさなくても心はつながっているのだと思いました。サッカーを通じて被災地どうしを結ぶ絆がつくられ、そして今後もつながっていくことを予感させました。

世間の関心が次々に移り変わっていく中、こうして支援の手を差し伸べ続けてくださる菅波代表をはじめAMDAの方々、協賛していただいたNICCOの皆様、AmeriCaresの皆様、本当にありがとうございました。今後も、南三陸の未来を担う子どもたちを応援していただけたらと思います。

 

気仙沼市立津谷中学校 サッカー部顧問 山口 崇

今回の交流では、サッカーを通じて子ども達同士の初の交流でした。大槌中学校とは初の交流でおたがいに被災していることもあり、どのような交流になるのか不安なところもありました。しかし、こちらの不安をよそに子ども達はとても楽しくプレーしていて良い交流になりました。また、初の試みだった各チームをミックスしてのマラソンサッカーも初めはおたがいに距離があり、もどかしい部分もありましたが、プレーするうちにふれあいができて、最後には仲間として声がけをできるくらいにまで、おたがいを知ることができました。

今回の交流を通して同じ境遇でサッカーを頑張っている仲間がいることを知ることができたのは気持ちの面で励みになると思います。今後も定期的に交流し、つながりを大切にしていきたいと思います。最後に今回企画していただいたAMDAの方々に感謝いたします。

 

AMDA大槌健康サポートセンター事業

2011年12月18日にAMDA大槌健康サポートセンターが開所して、1年が経過しました。釜石市在住の助産師1名が新たにスタッフとして加わり、ますます被災地のニーズに合わせた充実した支援活動を実施していくことができます。

 

新しいスタッフを紹介します


餅米の贈呈を西村氏から受け取る
米田恭子助産師

11月からAMDA大槌健康サポートセンターの新しいスタッフとして勤務している助産師の米田恭子です。昨年の震災後の緊急救援時にAMDAから緊急医療支援のボランティア看護師として大槌町に派遣されていました。自らが被災してもなお人の役に立とうとしている大槌の方たちに心惹かれてしまい、家族と共にこちらに越してきた次第です。復興にはまだ時間がかかりますが、幸い情熱を持って活動している方とAMDAを通じて応援してくださる方々が大勢いらっしゃいます。お互いを繋ぎながら、町の方たちが本当に欲しい未来を作っていきたいと思います。

 

1周年を迎えて 大槌の今 〜AMDA大槌在住スタッフからのメッセージ〜


天然酵母パン教室の様子
笑顔があふれます

こんにちは。健康サポートセンターの大久保と鍼灸師の佐々木です。この度皆様の沢山のご支援により12月で一周年を迎える事ができました。

鍼灸室を併設したセンターは、毎日たくさんの方の笑顔であふれています。

当初、コミュニティサロンのほうで手探りで開催していた行事も、徐々に町民の方に定着してきており、今では、健康体操教室、親子ヨガ教室、ボクシングを取入れたエクササイズ教室、フライパンで作る天然酵母パン教室、手芸教室などを定期的に開催できるようになりました。センターは仮設住宅からも、在宅地域からも近い位置にあるので、いずれの方も気軽に参加していただいています。またセンターでの教室やイベントに参加することで、新たな繋がりができるなど、出会いの場にもなっています。ここで笑ったり泣いたり、喜怒哀楽の感情を解放する場として、私たちは地元の方のニーズにこたえられるように、今後も新たな企画を行っていきます。

うれしいことに最近は、私たちが企画したイベントや教室に、住民の方が参加するだけでなく、「こんな事がしたい」「こうやったらいいのでは?」などと提案し、参加者が積極的に発案し、それぞれの得意分野を生かして講師をしてくださることもあります。こうした参加者の方の笑顔が私たちスタッフの元気の源になっています。

私たちスタッフは、常に初心を忘れず、原点を振り返り、「何の為に」「誰の為に」やるのかを忘れずに、私達が元気に利用者さんをお迎えしたいと思います。

震災から1年10か月が過ぎ、全国的なメディアにも取り上げられなくなってきました。AMDAの支撰者の皆さんにはいつもご支援いただき、本当に心強いです。でも皆さんが想像している以上に大槌町の復興は進んでいません。今後私たちにできることは、不安を抱えていらっしやる大槌町やほかの被災地の方の声を発信していくことだと思います。今後ともAMDA健康サポートセンターをよろしくお願い致します。

 

被災者医療機関支援


濱野看護師と志津川病院の方々

2012年12月16日から2013年1月8日までの期間で、冬期派遣として医師、看護師を宮城県本吉郡南三陸町の公立志津川病院および南三陸診療所へ派遣を実施しました。

【AMDA冬期医療派達者医師1名、看護師4名】
小林 良人:医 師/新潟県在住/12/28〜1/4
湯川真悠子:看護師/長野県在住/12/16〜24
濱野めぐみ:看護師/兵庫県在住/12/23〜28
菊地 美和:看護師/大阪府在住/12/27〜1/3
鹿島 彩女:看護師/千葉県往往/1/3〜8

 

震災ホームレス支援


配布物資に並ぶ震災ホームレスの方々の列

震災から2度目の冬を迎え、宮城県仙台市内では、昨年同様、震災ホームレスの方々が問題となっています。

AMDAでは、仙台でホームレスを支援しているNPO仙台夜回りグループに協力する形で、日蓮宗太生山一心寺、生活協同組合おかやまコープと共同で昨年度に引き続き、震災ホームレス支援を行っています。とくに今年は、「二次的震災ホームレス」と呼ばれる方が増えています。これは仙台近隣の被災地および非被災地から復興現場に人が集められ、一時的には雇用されるものの短期間で解雇となり、やむを得ずホームレスになる方々のことで、路上生活未経験者が多く、ホームレスとして生きる術を身につけていないため、餓死、凍死などの命の危険にさらされています。

AMDAでは、これらの方々に行き渡るよう、カップめん約1000食、カイロ1200個、フリーズドライ米30食を12月14目に仙台へ発送。18日に仙台に物資が到着後、順次夜回りグループの手で、震災ホームレスの方々へ支給されています。寒さの厳しい3月末までの支援を予定しており、2月中旬に第2便の物資を届ける予定にしています。