モンゴル国視能訓練技術移転事業(2014/12発行ダイジェストNo.43掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

モンゴル国視能訓練技術移転事業(2014/12発行ダイジェストNo.43掲載)

モンゴル国視能訓練技術移転事業


川崎医療福祉大学 高先生による
検眼の様子を見守るモンゴルの医師ら

受診した子供たちと一緒に

2014年9月8日からの4日間、日本から専門家を派遣して子どもの目の健康に焦点をあてたセミナーや実習等を実施しました。これは、岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業として助成を受けています。
小児の眼科健診システムが整っていないモンゴル国内において、小児の弱視、斜視、その他の眼科疾患については発見が遅れたり、放置されやすい現状があります。このことは、子どもの教育を受ける環境を阻害する恐れがあります。このような状況を受け、モンゴル眼科医協会の要望により2010年から毎年、モンゴルへ日本から専門家を派遣して子どもの目の健康に焦点をあてたセミナーや実習等の事業をおこなっています。
さらに今回は、眼科医、並びに教育関係者、保護者を対象とした小児の視機能健診の効率的実践を実際の診療現場で実施しました。
眼科学校健診の研修会には、ウランバートル市内の眼科医35名と40名の学校医が参加しました。また、研修会のほかに未熟児網膜症など、目に重大な問題を抱えた子ども28名の検査、さらには第58小学校に入学したばかりの1年生345名全員の眼科検診を日本モンゴル友好病院で行いました。眼科学校健診の結果、両眼とも0.7 以上は277 名で、2 割の児童は再検査の必要がありました。
全体として強度近視で失明予備軍の児童 1名を含め、眼科医の治療が必要と思われた児童が9名、眼鏡検査が必要な児が35名いることが分かりました。
検査をうけた子どもの保護者からは「日本の先生がこれほど丁寧に診てくれるとは感激だ」など多くの感謝の言葉をいただきました。
またこの検査結果については、モンゴル保健省、ウランバートル市保健局などにも共有することができました。
さらに、モンゴル眼科協会会長と、モンゴルHTテレビに出演して、広く一般に眼科視覚健診の重要性を訴える機会をいただきました。
日本の専門家の帰国後、モンゴル眼科協会が初回の検査で問題のあった53名のうち46名の子どもたちに対して、4日間にわたって再検査を行いました。その結果、38名の子どもに後楽ライオンズクラブから提供されたフレームで眼鏡を作ることができました。
モンゴル眼科協会から、「すくなくともこの53名の子どもたちは、AMDAが実施しれくれたこの検診がなければ、自分たちの目に問題があることを知ることはなかった。長年にわたるAMDAの協力に感謝している」とのコメントとともに眼鏡をもらった子どもや保護者から感謝のメッセージや絵が贈られました。
■派遣者 プロフィール
難波妙/AMDA GPSP支援局 局長/調整員/総社市在住
■協力
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科、視能矯正専攻教授 高裕子、視能訓練士協会 守田好江、モンゴル眼科協会、City Optic(ウランバートル市内眼鏡店)